日本船主協会

トップページ環境問題>環境インフォメーション

海運業界の取り組み 海運企業の取り組み 海運業界と環境問題

A:海洋環境 1.油による汚染防止(附属書 I)

1 2 3 4 5 6 7 8

(1) (2) (3) (4) (5)_1 _2

(5)シングルハルタンカーに対するフェーズアウト時期の前倒し

1.エリカ号事故

 1999年12月12日にフランスのブレスト港沖で折損沈没事故を起こし、ブルターニュ沿岸を400kmに亘って油濁汚染させた「エリカ号」の事故は、タンカー規制についての世界的議論を引き起こした。
 この事故を契機として、欧州委員会(EC)では、欧州域内への入港船の船齢制限を厳しくしようとの動きを強め、ECは2000年3月21日に、1992年に採択されたシングルハルタンカー(SHT)に対するフェーズアウトの前倒し実施(1996年に建造された最後のSHTも船齢14年で排除)等を柱とする規制案を、欧州閣僚理事会および欧州議会に提出した。この規制案は別名EUROPAといわれOPA 90と同様、欧州域内のみを対象とした地域限定的なものである。
 このようなECの動きに加え、フランス、ドイツおよびベルギーの3ヶ国は、6月30日にECの規制案よりも更に厳しい内容のSHT規制案(最後のSHTを船齢11年で排除)をIMOに提出した(因みに1992年に採択された改正MARPOL条約(13G規則)では最後のSHTは船齢30年まで使用可能)。
 これに対して、欧州における地域規制は、全世界で活動する国際海運事業に悪影響を及ぼすことから、各国の海事主管庁をはじめ国際海運業界等からSHTの規制の前倒しは、IMOにおける世界的な統一基準の下に実施されるべきであるとの声が高まった。
 これらを背景として、2000年3月に開催されたIMO第44回MEPCは、MARPOL条約附属書Iの改正スケジュールを決定、同年10月の第45回MEPCで改正案を策定し、2001年4月の第46回MEPCで改正案を採択(4月27日)という異例の速さで審議が進んだ。採択された改正条約の概要は以下のとおりであり、2002年9月1日に発効した。なお、この内容は、2002年11月にスペイン沖で発生した「プレスティージ号」事故を受けて、再度改正されている((5)2.参照)。■ 資料9:「エリカ号」事故の概要

Pre-MARPOL船(カテゴリー1*):2003年から2007年の間に建造年に応じ順次フェーズアウトする(各年のフェーズアウト日は引き渡し日:以下同様)。

MARPOL船(カテゴリー2*および3*):最終使用期限を原則2015年としたうえで、2003年から2007年の間はカテゴリー1とほぼ同様、2008年から2015年の間はそれぞれ1982年から1989年までの各年に建造されたタンカーを船齢が26年になるまでにフェーズアウトし、1990年以後の建造船も2015年中にフェーズアウトする。

但し、全貨物タンクに亘り二重底または二重船側を有するタンカーは船齢25年まで、現行13G規則における船齢25年以上のpre-MARPOLタンカーに課された船側タンクまたは二重底区画を有するか或いはハイドロバランス方式で運航されるタンカーは2017年または船齢が25年に達するいずれか早い日まで、「旗国の許可」に基づき使用できる。

これを許可する旗国は、IMOに報告しなければならない。一方、締約国はIMOを通して、この許可を受けたタンカーの自国の港、沖合施設への入港を拒否することができる。

カテゴリー1のタンカーについては2005年、カテゴリー2のタンカーについては2010年(引き渡し日)を超えて使用する場合には、新たに導入されたCondition Assessment Scheme(CAS*)を適用し、船舶の検査内容を主管庁が検証しなければならない。

*:カテゴリー1(MARPOL 条約附属書I第13G(4)規則の適用があるものに相当
 20,000DWT以上の原油タンカーおよび30,000DWT以上の精製油運搬船であって、MARPOL 条約が発効した時の現存のもの(引き渡しが1982年6月1日以前のもの)。

*:カテゴリー2(MARPOL 条約附属書I第13G(5)規則の適用があるものに相当)
 20,000DWT以上の原油タンカーおよび30,000DWT以上の精製油運搬船であって、MARPOL 条約で分離バラストタンク(SBT)が油流出防止のために配置されているもの(引き渡しが1982年6月1日から1996年7月6日までのもの)。

*:カテゴリー3(MARPOL 条約でダブルハル化が要求されていないもの)
 20,000DWT未満の原油タンカーおよび30,000DWT未満の精製油運搬船(引き渡しが1996年7月6日より前のもの)。

*:CAS
 船舶の状態を評価する制度。強化検査の履行を確実なものとするための条件を課している。一定の年限を超えてシングルハルタンカーを使用する場合に課せられる。