日本船主協会

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海運関係用語集は
バーゼル条約 index
 正式名称は、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」。有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分によって生じる人の健康または環境に係る被害を防止することを目的とし、1992年5月に発効、加盟国は120カ国を超える。本条約では、対象となる有害廃棄物を幅広く取り上げており、その中にはアスベストやPCBといった船舶の構造上必然的に含まれている物質も含まれたため、船舶の解撤(スクラップ)を目的とする船舶移動についても同条約が適用されるのかどうか各国は慎重な対応を行っている。
■バーゼル条約事務局:http://www.basel.int/
排水トン数(排水量) index
 displacement tonnage。船体の水面下部分の容積。排水容積を立方メートルで求め、海水の比重1.025を乗じたもの。排水トン数は、積荷によって船の総重量がほとんど変化しない艦艇などの大きさを表すのに使用される。
ハイヤー・ベース(H/B) index
 Hire Base(H/B)。船舶による貨物の運送に必要とする諸経費から、運航に要する諸経費を差し引いた費用全額を一ヶ月一重量トン当たりで算出したもの。H/Bを構成する諸経費は、船舶経費(船員費、消耗品費、修繕費、船舶保険料、設備金利、減価償却費、船舶固定資産税など)、店費(人件費、事務所経費、交通費、医療費など)などである。(∽チャーター・ベース)
裸用船契約(B/C) index
 Bare boat charter contract。貸渡業者(船舶所有者)が船体だけを用船者に貸渡す契約。用船者は船員を配乗して運航するか、再用船に出す。用船者は船舶経費のうち、船員費、消耗品費、修繕費、保険料等を負担し、船舶所有者は船舶固定資産税、設備金利、減価償却費等を負担する。(∞定期用船契約)
パナマ運河 index
 1914年に竣工した閘門式運河。全長65km、閘室は長さ335m、幅33.5m。2016年には全長80km、閘室の長さ427m、幅55mとなる新閘門が開通した。拡張工事により、通航可能な最大船型がコンテナ船の場合約5,000TEUから約13,000TEUとなったほか、LNG船も通行可能となることから、新たな海上輸送ルートとなり北米とアジアを結ぶ主要ルートを中心に海上貿易の流れに大きな影響があると見られている。
パナマ運河トン数(PCNT) index
 Panama Canal Net Tonnage(PCNT)。1969年のトン数条約による国際総トン数の算出に用いた船舶の総容積に、パナマ運河当局独自の係数をかけて算出する。船舶法に定める総トン数、純トン数とも異なる。
パナマックス index
 2016年拡張以前の旧パナマ運河を満載状態で通航し得る最大船型。パナマ運河を通航可能な船の最大幅は32.31メートルであるため、通常は船幅を32.2メートルとしている。一般的には、6万~8万載貨重量トン数(D/W)程度。拡張後のパナマ運河を通航し得る最大船型はネオパナマックスと呼ばれ、船幅は49メートル、12万載貨重量トン数(D/W)、コンテナ船の場合は13,000TEU程度。
バラスト水問題 index
 船舶のバラスト水は、船体の姿勢制御や復原性確保のためにバラストタンクに積載される海水で、船舶の安全運航上欠くことのできないものである。20万トンクラスのバルクキャリアの場合、空船時には約6万トンのバラスト水を積載し、貨物の積出し港において積荷の進行に合わせて排出される。IMO(国際海事機関)の推定では、年間約120億トンのバラスト水が地球規模で移動しているといわれる。バラスト水には、微小な生物(バクテリア等の微生物やプランクトン等の浮遊生物等)に加え、魚類等の卵や幼生等も含まれ、バラスト水に含まれる生物の種類は4500種類以上といわれる。バラスト水により移動した水生生物が新たな環境に定着すれば、その海域の生態系や水産業等の経済活動に影響を与え、また、一部の病原菌は人体の健康に直接影響を与えることもあり得る。このため、IMOでは1994年から条約化のための検討を続けてきたが、2004年2月13日に「バラスト水の管理に関する条約」が採択され、2017年9月8日に発効。
ばら積み index
 貨物を梱包しないでそのまま船倉に積み込む方式で、穀物、石炭、鉱石類、木材、チップ、セメントなどのように粒状、粉状の貨物が適している。また、液体貨物をドラム缶などに入れず、タンカーの貨物タンクに直接入れて運搬するのもばら積みの一形態である。バルク貨物ともいい、通常、専用船によって運送される。一般的に、乾(ドライ)貨物を運ぶものをバルクキャリア、液体(リキッド)貨物を運ぶものをタンカーという。
バンカー条約 index
 International Convention on Civil Liability for Bunker Oil Pollution Damage。燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約。船舶からのバンカー油の流出又は排出から生じる汚染損害について、船舶所有者(裸傭船者、管理人、運航者含)の厳格責任を定めるとともに、登録船主は責任制限額までの保険付保が義務付けられる。
ハンディーバルカー index
 一般的に、1万8千~5万載貨重量トン数(D/W)程度のばら積み船の総称。
フィーダーサービス index
 輸送効率向上のため、コンテナ船は主要港のみに寄港し、貨物取り扱いの集約化と運航の迅速化、安定化を図っている。主要港以外の貨物は主要港まで輸送され、主要港からは別便に積み替えて輸送される。この主要港と支線港との間のコンテナ輸送をいう。
不稼動損失保険 index
 船舶が海難事故等によって一時的に稼動不能の状態となった場合に得ることができなかった収入や支出せざるを得なかった費用等を填補することを目的とした保険。
複合一貫輸送 index
 インターモーダル。特定の貨物が、船舶、鉄道、自動車、航空機など種類の異なる2つ以上の輸送手段により相次いで運送される場合を複合輸送あるいは複合運送というが、この場合、荷送人の戸口で貨物が詰められ、かつ封印された貨物を輸送の中継地で一度も開封することなく荷受人の戸口まで単一の運送人の一元的な責任管理のもとに届けることをいい、コンテナの普及により普遍化した。
船荷証券(B/L) index
 Bill of Lading(B/L)。運送人と荷送り人の間での運送契約に基づき、貨物が運送のために荷送り人から運送人に引き渡され、または船積みされた場合に運送人により発行される証券であり、運送契約の証拠、貨物の受取書および引換書、有価証券としての機能を持っている。
フラッグアウト index
 主要海運国の外航海運会社が、船舶の経費削減を目的に所有船舶をパナマやリベリアなどの便宜置籍国に船籍を移すこと。
便宜置籍(FOC)船 index
 船舶の経費節減を目的として、船主が船籍を便宜的にパナマやリベリア等の国に登録した船舶。
ポートステートコントロール(PSC) index
 Port State Control(PSC)。寄港国による監督。IMO(国際海事機関)やILO(国際労働機関)が定める国際条約の基準に適合していない劣悪な船舶を排除するために、船舶の寄港する国(ポートステート)の監督官が入港船舶に対して船舶の設備、乗組員の資格などについて条約に適合しているかを検査すること。1981年、IMOにおいてPSCについての監督手続きに関する決議が採択されたことを契機に、世界的にPSCが本格的に実施されることとなった。我が国は1983年から船員の資格・航海当直体制にかかわるPSCを、1984年から船舶の構造・設備にかかわるPSCを本格的に開始し、その後も逐次その充実強化を図っている。