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海運自由の原則 |
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海運事業に対する参入撤退の自由を保証し、貨物の積取りについて政府の介入により自国の商船隊や自国籍船による輸送を優先させたりすることなく、海運企業や船舶の選択を企業間の自由かつ公正な競争に委ねるとの原則をいい、イギリスや日本など先進海運国における海運政策の基本とされている。現実には、国家安全保障等を口実とした政府介入が行われることも多い。 |
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海事クラスター |
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様々な産業が直接・間接に関係する産業群のことを、ぶどうの房(クラスター)が隣り合って密集していることになぞらえて産業クラスターといい、特に海事産業群は「海事クラスター」と呼ばれる。日本の海事クラスターは、海運業、造船業を中核に舶用工業や港湾運送のほか、法務、金融、保険などといった業種が広がる形で構成されており、海運大国かつ造船大国である日本の海事クラスターは売上高や従業員の規模が大きく、日本全体に与える影響が高いとされている。 |
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海上人命安全条約(SOLAS) |
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The International Convention for the Safety of Life at Sea(SOLAS)。航海の安全を図るため船舶の検査、証書の発給などの規定を設け、船舶の構造、設備、救命設備、貨物の積み付けに関する安全措置等の技術基準を定めた条約。1912年4月14日に発生したタイタニック号事故を受けて、最初のSOLAS条約が1914年に採択された。その後、1929年、1948年、1960年に新しいSOLAS条約が採択されたが、現在の条約は、1974年に採択された1974年SOLAS条約である。この条約は1974年11月1日に採択され、1980年5月25日に発効した。 |
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海洋汚染防止条約(MARPOL) |
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International Convention for the Prevention of Pollution from Ships(MARPOL)。MARINE POLLUTIONの頭文字をとってMARPOL条約と称する。海洋汚染の防止を目的に、船舶の構造や汚染防止設備等の技術基準を定めている。油タンカーはじめ各種の汚染を段階的に規制するのに貢献している。1973年条約の1978年議定書(73/78MARPOL条約)は、1978年2月17日に採択され、附属書Ⅰ(油による汚染防止:1983年10月2日発効)、附属書Ⅱ(有害液体物質による汚染防止:1987年4月6日発効)、附属書Ⅲ(個品有害物質による汚染防止:1992年7月1日発効)、附属書Ⅳ(ふん尿による汚染の防止:2003年9月27日発効)、附属書Ⅴ(船舶からのゴミによる汚染防止:1988年12月31日発効)、附属書Ⅵ(大気汚染の防止)の6つの議定書からなる。
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喫水(吃水) |
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draft。船舶が水に浮かんでいる状態または航行中の船体の最下端から水面までの垂直距離。ふなあし。 |
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強制水先 |
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水先とは、船舶が輻輳する港等の交通の難所において、免許を受けた水先人が船舶に乗り込み当該船舶を導く制度であり、船舶交通の安全確保及び運航能率の増進のために国際的に実施されている。わが国では、外航船の出入の多い港や水域は水先区として設定されている。全国で35の水先区が設定されている。このうち、特に潮流などの自然条件が厳しく、海上交通の輻輳する水域や港においては水先人を要請するか否かは船長の判断に委ねられておらず、水先法により一定基準以上の船舶に対して水先人の乗船が義務付けられている。これを「強制水先」と呼ぶ。東京湾、伊勢三河湾、大阪湾、瀬戸内海の一部水域、関門海峡、佐世保港および那覇港に強制水先区が設定されている。 |
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共同海損 |
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General Average(GA)。船舶が航海中に座礁、衝突、火災などの海難事故に遭遇し船舶と貨物が共同の危険にさらされた場合、共同の危険を回避するため故意かつ合理的に支出された費用または犠牲となった損害について、利益を受けた関係者が損害を共同で負担する制度。共同海損に関する取り決めを定めた国際的な統一規則としてヨーク・アントアープ規則(YAR)がある。 |
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共有建造制度 |
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内航船舶を建造する際、船主と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(2003年に運輸施設整備事業団の業務を受け継ぎ設立)がその費用を分担し、竣工後も両者の共有として船主が船舶を使用管理する方式。同機構は、物流効率化の促進、地球環境問題に対応したスーパーエコシップ(SES)やモーダルシフト船の建造促進等、国内海運政策の諸問題に対応するため、政府資金により、企業規模が小さく資金力に乏しい船主を共有方式で資金・技術両面から支援している。 |
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ケープサイズバルカー |
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一般的に15万~17万載貨重量トン数(D/W)程度のばら積み船のことをさす。船型の大きさからスエズ運河やパナマ運河を通航できず、大洋間を移動するためには喜望峰やホーン岬を経由しなければならないことから名づけられた。 |
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兼用船 |
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一種類の貨物しか積載できない専用船に対し、2種類以上の貨物を積載できるように工夫した船舶で、その時々の市況に応じて運賃の高いほうの貨物を積むことが出来ることや、空船航海を少なくすることが出来るなど、小回りが効く利点がある。 |
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原料炭 |
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コークス・ガスの製造原料とされる石炭。主に製鉄に使用され、熱量6000cal/kg以上のものをいう。コークス用原料炭の適否を判定する要素として、粘結性とコークス化性、流動性、灰分、硫黄の含有量、揮発成分などがある。(∞電力炭) |
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航海傭船契約(V/C) |
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Voyage Charter。荷主/船舶運航事業者などの用船者が、特定港間の1航海又は複数航海について運賃や輸送条件等を取り決め行う傭船契約。積荷スペースを全部借りる契約と一部を借りる契約がある。 |
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港長 |
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港長は、港則法の定める「特定港」に置かれ、海上保安部長、海上保安署長など海上保安職員の中から任命される。港則法の目的としている港内の安全を図るため、港長は特定港において、船舶の入出港、停泊、危険物の荷役、修繕などに関して多くの権限を有している。 |
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港費 |
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揚積荷役や燃料補油のための入出港に要する費用で、入港料、水先料、曳船料、岸壁使用料、綱取放し料などがある。 |
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港湾管理者 |
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港湾法に規定された港湾区域の総合的な管理・運営にあたる自治体・団体のこと。港湾の所在する地方自治体(都道府県、市町村)、複数の地方自治体が共同して設立した管理組合、港務局の三形態がある。公共バースやターミナル、上屋を整備し、民間に提供するなど港湾物流業者の活動を地域行政の立場からコントロールする役割を担う。 |
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国際安全管理コード(ISMコード) |
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人的ミスによる事故を未然に防ぐため、ソフト面での安全対策を充実・強化することを目的として、1993年11月にSOLAS条約(海上人命安全条約)第IX章として採択された。船主または船舶の安全に関して責任を有する者(「会社」=船舶管理会社等)に対し、安全管理システム(SMS)の確立、陸上安全管理担当者の選定、安全運航マニュアルの作成、緊急時の対応措置、船舶および装置の維持・管理などを義務づけ、これを船舶の旗国政府が審査し、審査に合格した会社および船舶には適合証書が発給される。1998年7月以降、順次この証書の備え付けが義務付けられ、2002年7月1日より国際航海に従事する総トン数500トン以上の全ての船舶に適用された。 |
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国際海事機関(IMO) |
International Maritime Organization(IMO)。1958年3月に政府間海事協議機関Inter-Governmental Maritime Consultative Organization(IMCO)としてロンドンに設置された。1982年5月、IMOに名称変更。海上の安全、航行の能率および海洋汚染の防止等、海運に影響する技術的問題や法律的な問題について、政府間の協力を促進するとともに、最も有効な措置の採用や条約等の作成を行っている国連の専門機関。
■IMO:http://www.imo.org/index.htm |
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国際船舶制度 |
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わが国外航海運の国際競争力を確保し、日本籍船の減少に歯止めをかけるべく、日本籍船のうち国際海上輸送の確保上で重要な船舶を国際船舶と位置づけ、海外への譲渡、貸渡について届出制・中止勧告制を取る一方、税制上の支援措置を講ずるとともに、外国人船員(職員)の配乗を可能にする制度。平成8年10月に発足。 |
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国際戦略港湾 |
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平成23年4月1日施行の改正港湾法により新たな港格として定義された。「長距離の国際海上コンテナ運送に係る国際海上貨物輸送網の拠点となり、かつ、当該国際海上貨物輸送網と国内海上貨物輸送網とを結節する機能が高い港湾であって、その国際競争力の強化を重点的に図ることが必要な港湾として政令で定めるもの」で、従来の特定重要港湾23港から5港(東京、川崎、横浜、大阪、神戸)を選定。 |
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国際拠点港湾 |
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平成23年4月1日施行の改正港湾法により新たな港格として定義された。国際戦略港湾以外の港湾であって、国際海上貨物輸送網の拠点となる港湾として政令で定めるもので、従来の特定重要港湾23港から18港を選定。(∞国際戦略港湾、重要港湾、地方港湾)
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国際総トン数(G/T) |
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船舶の大きさ(容積)を表す総トン数は、計測方法が各国まちまちであったためIMCO(政府間海事協議機構(現在のIMO)において、「1969年の船舶のトン数測度に関する国際条約」(1982年7月発効)が制定され、初めて世界的に統一されることとなった。この条約によって計測された総トン数を国際総トン数といい、一般的に総トン数と言えばこのトン数を意味する。主として客船などの大きさを示すときに使われるのに対して、載貨重量トン数(D/W)は、船が積める貨物の重量を示す単位で、主として貨物船の大きさを表す場合に使われる。(∞総トン数) |
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国際標準化機構(ISO) |
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International Organization for Standardization(ISO)。1947年に創立された全世界的な非政府間機構で本部をジュネーブに置く。国際連合および関連国連機関ならびに国連専門機関における諮問的地位を有する。メンバーは各国毎に代表的標準化機関1機関のみが参加可能。製品やサービスの国際交流の容易化、知的、科学的、経済的活動分野における国際間協力の促進を目的とし、約190の専門委員会(TC: Technical Committee)が、コンテナの海陸一貫輸送に不可欠なコンテナ標準の規格化をはじめ、近年ではISO9000(品質管理)やISO14000(環境マネジメント)に見られるとおり、ソフト面での国際規格化作業も行っている。我が国からは、1952年にJISC(Japanese Industrial Standards Committee:日本工業標準調査会)が参加している。
■ISO:http://www.iso.ch/ |
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国際油濁補償基金(IOPCF) |
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The International Oil Pollution Compensation Funds(IOPCF)。タンカーから排出された油によって発生した油濁損害が船主の賠償責任限度額を超えた場合に、国際条約に基づき油受取人により拠出された基金が補償を提供している。IOPCFはこの基金を管理し、補償業務を執行するための機関である。
■IOPC:http://www.iopcfund.org/
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国際労働機関(ILO) |
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International Labor Organization(ILO)。1919年ベルサイユ条約によって設立された。各国の政府、使用者代表、労働者代表で構成され、社会福祉の向上と労働条件の改善を目的としている。現在は国連の専門機関の一つになっている。日本は1951年に再加盟し、1954年から常任理事国となっている。 ■ILO:http://www.ilo.org/
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国連海洋法条約(UNCLOS) |
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The U.N. Convention on the Law of the Sea(UNCLOS)。1982年12月10日に採択され、1994年11月16日に発効した「海の憲法」ともいうべきもの。我が国は、1996年6月20日に加入し、7月20日より効力を生じている。海洋に関する事項を包括的に規律するもので、領海、接続水域・排他的経済水域、公海、大陸棚、深海底、海洋環境の保護および保全、海洋の科学的調査、紛争の解決など海洋問題一般を包括的に規律している。 |
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混乗 |
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日本人船員と外国人船員とが同一の船舶に乗組む配乗形態を混乗という。 |
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コンテナ |
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container。もともと「容器」を意味するが、一般には貨物とくに雑貨輸送の合理化のために開発された一定の容積をもつ輸送容器をいう。各種の輸送機関に適合性を持ち、かつ反復使用に耐える強度を有する。国際大型コンテナと国内コンテナに大別され、それぞれ国際標準化機構(ISO)ならびに日本工業規格(JIS)による定義があり、また構造強度に関する規定が設けられている。材質は鋼などがあるが、近年はアルミ製の生産が主流。サイズは通常、長さで表示され、20、40フィートのものが主流。但し、海上コンテナ輸送においては、40フィートを超えるものも使用されている。また、コンテナの幅と高さはそれぞれ8フィートが標準であるが、高さが8フィートを超える背高海上コンテナ(ハイキューブ・コンテナ)も利用されている。 |
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コンテナターミナル |
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コンテナ輸送における港湾の基地。バース、エプロン、ヤード、フレート・ステーション、メンテナンス・ショップなどの設備と大型クレーンや搬送機器を配備し、本船荷役や荷捌き・保管を一貫して手がける場所。 |