5・6 国際コンテナ諸問題 

 

 

 561 ISO/TC104(貨物コンテナ)に関する対応 

 

1. ISOの概要

ISOInternational Organization for Standardization:国際標準化機構)は、1947年に設立された全世界的な非政府機構(本部:ジュネーブ)であり、国際連合および関連国際機関ならびに国連専門機関における諮問的地位を有している。ISOには各国毎に代表的標準化機関1機関のみが参加可能であり、約140カ国の参加国から成り立っている。製品やサービスの国際交流の容易化、知的、科学的、経済的活動分野における国際間協力の促進を目的とし、分野別に約190の専門委員会(Technical CommitteeTC)が設置され、審議を行っている。(船協海運年報2000参照)

なお、わが国からは、閣議了解に基づき1952415日以来「日本工業標準調査会(Japanese Industrial Standards CommitteeJISC)」(事務局:経済産業省産業技術環境局基準認証ユニット)が参画している。

 

2. ISO/TC104(貨物コンテナ)の概要について

当協会は、JISCの承認の下、ISOの中で104番目に設置された専門委員会であるISO/TC104の国内審議団体を引き受けている。TC10431カ国の正式加盟国(いわゆるPメンバー:業務に積極的に参画し、規格投票に対する債務および可能な限り会議に参加するメンバー。)および24カ国のオブザーバー加盟国(いわゆるOメンバー:オブザーバーとして業務に参画するメンバー。意見提出、会議出席も権利を有する)にて構成され、貨物コンテナ、特に海上コンテナに関する専門用語の定義、仕様、試験方法および付番等に関する標準化を審議している。

TC104の傘下には現在、3つのSCSub Committee1,2,4)があり、更にその下部組織としてWGWorking Group)がある。

 

ISOTC104組織図

 

 

 

 

 

 

 


3. ISO/TC104における当協会の役割

当協会は19984月以降、ISO/TC104にかかわる国内審議団体事務局を行っており、「日本船主協会ISOコンテナ委員会」(以下「当委員会」)にてその審議がなされている。メンバーは、コンテナを扱う当協会加盟船社3社を中心として、コンテナやコンテナ関連機器製造メーカーおよび関係省庁担当者で構成されている。定例委員会は通常2カ月に1度開催され、ISO本部や関連省庁、関係団体等からの意見照会、調査協力、規格案投票等に対応している。

また、当委員会委員長は委員会を代表してJISC物流技術専門委員会に参画し、工業標準に係る調査審議に加わっている。

 

4. 検討状況

 2005年度はTC104総会及び下部機構の各SC会合が59日〜13日の間ロンドンで開催され、ISO TC104日本委員会より正副委員長及び事務局が出席した。

 

@ 日 程

 59日 SC1(一般コンテナ)

 510 SC2(タンクコンテナ等特殊コンテナ)

511 SC4(認証、伝達 )

51213日 TC104総会

 

 

A 会議概要

 各会合における主要議題の審議の概要は以下のとおりである。

(1)SC1会合

主要議題は2003年にデンマークより提案された45ft Containerの規格化案に関するものであった。

45ftコンテナの規格化に当たり、スペインが規格案はEUの規格に合致させる

べきこと、45ft Containerは陸上輸送においても多くエネルギーを消費し環境上も問題がある旨のコメントがなされた。

更に中国からは45ftコンテナの強度テストに関するコメント、及びTest Procedureに関するコメントがあったが、最終的に原案を了承した。

本件については、主に米国で用いられている45ftコンテナを規格化したい米国系船社とその必要を認めない欧州勢との主導権争いであったが、結局推進派に押し切られた形となった。(なお、わが国においては道路交通法等により45ftコンテナは公道に出すことはできない。)

 他の主要議題である、米国提案のDoor End Securityについては、原案の文面だけではどのようなものかはっきりしていなかったため、総会前にあったNew Work Item Proposalとして投票時には反対とした。この機会にUSAに対して説明を求め、その結果現行コンテナに取り付けられているSecura Camも含まれることを確認し、NWIとして取り上げることに賛成し、満場一致でNWIとして取り上げられることとなった。

 

(2)SC2会合

 冷凍コンテナのUnitに漏電継電器を取り付ける提案が英国よりあった内容の

変更をすることが英国より発表あり、これは義務付けるものではないと言った

上で、改定案が出された。これによって特に反対意見も無く、FDISFinal Draft IS)の投票に移

ることとなった、

Tank Containerの規格改定案(Dynamic Force Test Procedure)が出ており

South AfricaChinaより意見が出ていたが、特に反論無くFDISの投票に進むこととなった。ちなみに米国からTest WeightForceLatestのものにUpdateするべきとのコメントがあった。

 

(3)SC4会合

 主要議題は、今回の会合で当方が最も注視するEsealの規格化の検討であった。Esealの規格化については、前回の2003年フロリダ総会にてデータ保護の安全性、周波数帯の問題から審議が差し戻されたもので、米国等の推進派が国内のテロ対策から精力的に検討を行ってきた問題であった。

 

Esealの規格案は、次の7つの構造で構成されている。

ISO 18185-1: コミュニケーションプロトコル

ISO 18185-2: 適用要件の標準化

ISO 18185-3: 環境特性:の標準化

ISO 18185-4: 標準化データ保護

ISO 18185-5:センサーインターフェース

ISO 18185-6: Esealシールリーダとホストコンピュータとの間の通信用メッセージセット

ISO 18185-7: 物理層

 

 今回の総会では、これらの規格が一部未確定の状態で、検討の進展を図ろうとしたことから、わが

国より電子シールの規格化に関して、規格案ISO18185-17のすべてがそろってから一斉に次ステ

ップに進むようコメントしたが、最終的には多数決で承認された。

 ISO18185-118185-7は、実証実験中に重大な欠陥が見つかったことから、3ヶ月遅らせRework

ののち次ステップに進むことで決定した。反対票はシンガポールのみであった。

 ISO18185-218185-3は今後2ヶ月間DIS投票期間に入ることが満場一致で決定された。(翌日

の総会にて、日本としてはすべての規格案がそろうまで進行をとめるべき意見を再度述べ、棄権票

に変更することを告げ、受け入れられた。)

 ISO18185-5は、Working GroupWG)の検討の結果、必要ないと判断されてWithdrawすること

を提案し、多数決で決定された。当方は棄権票とした。

ISO18185-418185-6は規格案策定に向こう6ヶ月延長することが了承された。

また、SC4は二重の作業が発生しないように、TC8(船舶及び海洋技術)WG2

TC104 SC4間のコミュニケーションを高めることを要求した。また、TC104 SC4TC8 WG2の会議に代表者を派遣し、TC104 SC4に情報を与えるよう要求した。

 

4ISO TC104総会 

 ボールマン氏(米国)を議長に再任するとともに、上記各SCの活動報告・決議を承認した。ま

た、次回総会は2007年に韓国で開催されることとなった。

 

 

 562 国際貨物コンテナ所有者コード管理業務 

 

 ISO6346Freight containers – Coding, identification and marking:コンテナの共通識別コードの規格)では、コンテナの識別に必要な措置として所有者コード等の付番を義務付けており、所有者コードについては、その登録を国際登録機関であるBICBureau International des Containers:本部パリ)に対して行わなければならない旨定めている。

当協会では、ISOコンテナ委員会業務に関連して、BICの日本の登録機関NRONational Register Organization)として日本でのコンテナコードの登録、問い合わせの窓口を担当している。

 

 

 563 背高海上コンテナ委員会 

 

いわゆる背高海上コンテナ(長さ40フィート、高さ9フィート6インチ型)をわが国で輸送する場合には、道路交通法等規制の関係から、通行経路を指定した上で警察庁、国土交通省より輸送許可を受けることとなっていた。

従来は各運送事業者から提出され、(社)全日本トラック協会で取り纏められた経路申請は、当協会が委員長ならびに事務局を努める「背高海上コンテナ委員会」の審議・承認を経て警察庁、国土交通省に提出されていた。

 しかし、平成16年3月1日付で、道路交通法施行令及び車両制限令の一部が改正され、指定道路を通行する車両の高さの最高限度が4.1mに引き上げられるとともに、背高国際海上コンテナ以外の車両についても通行が可能になった。

 このため、これまでの新規指定ルートの申請窓口としての本委員会を解散し、11月1日付で新たに全日本トラック協会、日本海運貨物取扱業会等の6団体による『背高車両委員会』を発足した。

 なお、同委員会の事務局は全日本トラック協会が担当することなり、当協会は委員の立場で参画することとなった。