配達予定のスニーカーが届いて、
つぐみは少しうれしかった。
でも箱を開けた瞬間、ふと止まる。
「これ、どこから来たんだろう」服も、
スマホも、コーヒー豆も、
当たり前のように届いているけれど、
その“もっと手前”を考えたことはなかった。
数日後、つぐみは友人に誘われて
海運のイベントに立ち寄る。
巨大な船の写真、世界地図、
運ばれているモノの一覧。
そのスケール感に、思わず足が止まった。
「これ、ほとんど船で来てるんです」
スタッフの一言に、つぐみは目を丸くする。
「え、こんなに?」日本の暮らしは、
思っていた以上に海運とつながっていた。
さらに展示を見ていくうちに、
海運がただモノを運ぶだけではなく、
日本の暮らしを支える
大切なインフラのひとつだと知る。
船がすごい、で終わらない。
その後ろには、止めないための仕組みがある。
社会に見えにくいからこそ、
ちゃんと伝える人たちがいるのだと、つぐみは知る。
帰り道、つぐみは自分の買い物袋を見下ろした。
「今日持ってるもの、
けっこう船に乗ってきてるんだ……」友人が笑う。
「明日から、港の景色ちょっと違って見えるかもね」
その夜、つぐみは荷物の配送通知を
見ながらつぶやいた。
「届くって、すごい」前より少しだけ、
世界とのつながりが見えた気がした。
“海運を知る”第一歩は、
いつもの荷物の、その手前を想像することから始まる。
(第2話に続く)