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2011年6月

中本光夫

大震災に見る船協国際活動

日本船主協会 理事長
中本 光夫

東日本大震災で被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

日本船主協会の会員各社では、幸い人的被害は殆どありませんでしたが、12隻が座礁などの被害に遭いました。もう一つ大きな被害は風評被害です。震災直後、ドイツ人船長をはじめとする外国人船員が運航する外国船社の船が京浜港を抜港したり、一方、海外の港では日本からの船の放射能を厳しくチェックし、場合によっては入港を拒否するような動きが拡がりました。日本船主協会でも「日本は被災地域を除き無事であり、放射能も健康上の問題とはならないこと」、を伝える会長のレターを直ちにだしました。この際役に立ったのが、平素から付き合いのあるICS(国際海運会議所)、ASF(アジア船主フォーラム)等の事務局です。参加の各国船協等にレターを即刻、回報してくれました。

ロンドン支部の各国船協、国際組織との付き合いも大いに力を発揮しました。IMOや日本政府がだした声明文を加盟船社に直ちに配信してくれました。また、ロイズリストなどの有力紙に対しても、ロンドン支部が親しくしている記者を通じて、我が国の正確な放射能値の状況などを示した日本政府の発表を掲載してもらいました。

震災後の数少ないミッションとして来日し日本船主協会を訪ねてくれたEUの人達との付き合いも長いです。彼らは毎年、日本政府との会談の後、訪問してくれていますが、今年もアフター5は席を移し、熱心に当方の説明に耳を傾けてくれました。また外国船舶協会や一部の外船社は、海外で悪い風評が拡がる中で、コンテナの放射能の調査の徹底などを要求し、言葉の壁もある中、相談相手もままならず不満を強めていましたが、日本船主協会としては出来る限り意見交換し、協力することに努めました。

また大震災後、時を置かず、各国の船協や海事関係国際組織から多数のお見舞いのメールを頂戴しました。義援金や支援物資の申し出も少なからずあり、これらについては送付先として日本赤十字社を紹介しましたが、日本船主協会を通じて供出したいとの強い申し出を受けて、協会内に受付口座を設けました。フィリピンからはPJMCC(フィリピン日本船員配乗代理店協会)を中心に1000万円近い義援金をだしていただき、また韓国船舶管理業協会からも義援金をいただいており、各国の海事関係者から寄せられる善意に人と人との心の結びつきに国境も人種もないことを改めて感じました。また日本船主協会が事務局長をだしているASFは勿論のことICS等の海事国際機関における活動を強化したり、各国の船協、PJMCC等の友好団体とのコミュニケーションのパイプを太くすることは、情報の発受信のアンテナを高くし、ひいては日本の海運業の存在を増大させるとこに繋がり、本当に重要だと思います。

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