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オピニオン

2011年10月

小出三郎

「最近思うこと二つ」

日本船主協会 常任理事
第一中央汽船株式会社 代表取締役 社長執行役員
小出 三郎

前回の寄稿で日本センシュ協会は日本海運協会に改名したらどうかと吼えてみました。我業界への関心が高まり、社会的認知度も向上するであろう、平たく言えば海運協会であれば分かり易いとの思いからでしたが不発。

さて今回も吼えてみようかと思いますが、また不発かな。。。

一つ:原発
 脱原発か原発推進かはあまり旗色鮮明にせぬ方がよろしかろう。イデオロギー問題に成りかねませんから。がしかし、我業界は火力発電ガンバレと唱えてもいいのではないでしょうか。なぜガンバレ火力か。火力発電増加は海運に多大な恩恵をもたらすからです。800万KWの原発がもし石炭火力であったなら年間2000万トンの石炭海上輸送需要を創出します。核燃料1トンは石炭10万トンに匹敵します。恩恵どころか革命的海上物流激増を惹起するかも知れません。原・重油、LNGでもいいのです。油、ガス船で新造船需要が興れば結果的にドライ船建造抑制となり、我らドライ業者にとっても結構な事なのです。海運は一つなのです。

さて火力増えるとCO2けしからんという声が起こります。その際はCO2で鼻毛が伸びる位は我慢と訴えましょう。大体まだ科学的・学術的にCO2悪者説が真理になっておりません。CO2封じ込め技術にも期待です。財界のエライさんが原発推進を叫んでも、我業界は口パクでそうだそうだと言い、下を向いてしまいましょう。ゆめゆめ海運人は火力発電ではアカン、と言わないようにして下さい。火力は3安、即ち安価・安定・安心です。とりわけ石炭は安くて、そこら中で取れ、安全なのです。

二つ: クラークソン病
 従前よりこの病を世間に紹介してまいりました。この調査会社が新造船供給の数字統計を発表し、その数字に驚愕、動転し、もって海運市況に狼狽、絶望する人々に対して命名したものです。あるブローカーさんは「暗ーく損病」と漢字化してマーケットレポートで披露してくれました。感激かつ笑止。ある外人さんによれば英語ではClarksonVirusがいいそうです。私はこの調査会社にケチをつけてるのではありません。その数字を見て驚愕動転狼狽絶望している人々にちょっと待って下さいと言いたいだけなのです。厄介なことにこの病に罹っている人はエライさん、インテリ、ベテラン、玄人筋に多いのです。供給がショッキングな数字であると人はえてして急性近視眼視野狭小となり、供給数字ばかりに引付けられてしまいます。解撤数もぜひ見てほしい。それは以前と比べ物にならぬ位進んでおります。ケープサイズで足元の解撤数量は年換算では100隻を超える勢いです。新造−解撤=ネット供給は今年の方が遥かに小さいのです。また中国鉄鉱石輸入量は直近で年換算昨年比1億トン増加にせまりつつあるのが現実です。1億トンはケープサイズ100隻を吸収できるのです。市況は需給だけで律せられないのです。大多数の人が新造船数字に圧倒され、供給のみに焦点をあて、世を儚み絶望したら、もう勝負はついてしまうのです。これでは「敵」の思うツボ。市況は心理、情報、ウソ・デマ合戦なのです。どうか「暗ーく損病」の皆さん、ネット供給量、真実の海上物流量、そして情報戦の舞台裏を総点検した上で市況判断をして下さい。海運は絶望したらお終いのゲームなのです。

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