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オピニオン

2014年1月1日

朝倉会長

年頭挨拶

一般社団法人 日本船主協会
会長 朝倉 次郎

新年明けましておめでとうございます。2014年の年頭にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

昨年の世界経済は米国を中心とした先進国主導で緩やかに回復に向かいました。リーマンショック後の世界経済の牽引役となった新興国においては、一時の高い経済成長率からは減速したものの、一定の調整期間を経て今後は持続的な安定成長路線へ転換して行くものと思われます。
 国内においても、アベノミクスの第一の矢である大胆な金融政策と第二の矢の機動的な財政政策が奏功し、行き過ぎた円高が是正され、株式市場も年間上昇率で世界一となり久しぶりに日本経済に明るさが戻ってまいりました。また、2020年のオリンピック東京招致成功や富士山や日本食の世界文化遺産登録の明るいニュースは日本の社会に再び活気を与えるきっかけとなりました。
 リーマンショックを契機に大きなダメージを受けた日本海運でありますが海運市況は確実に回復基調にあると思います。各船社の懸命な努力に加え、造船・海運を主体とした海事クラスターに係る人の間での相互協力が我が国特有の不況克服モデルとして機能しえたことは世界に誇れることと考えます。

 さて、昨年6月に日本船主協会会長のバトンを受けて直ちにギアをトップに入れて最優先の課題であった「海賊多発地域における日本船舶の警備に関する特別措置法」の制定に向け精力的に陳情活動を展開いたしました。残念ながら、一度は廃案になりましたが、秋の臨時国会で真っ先に成立、さらには11月末に直ちに施行していただきました。
 国会の諸先生方、国土交通省はじめ関係省庁の皆様および国民の皆様のご理解・ご支援に対しまして厚くお礼申し上げます。

 私は昨年9月に我が国のソマリア沖・アデン湾海賊対処部隊ジブチ活動拠点を訪問致しました。摂氏50度にならんとする猛暑と砂塵の過酷な環境の中“海賊には警護する商船に指一本たりとも触れさせない”との司令官の心強い言葉通りの献身的な活動には深い感謝と敬意の念を覚えました。我が国 自衛隊・海上保安庁を含む各国のこうした懸命な対処活動によりソマリア沖・アデン湾における海賊事案は近年減少しております。
 その一方で海賊の活動は護衛が及ばない海域にまで広がっており脅威は解消されておりません。
 私ども外航海運業界も商船隊の更なる自衛措置の強化と陸上からの情報提供等により、乗組員の生命、船舶および貨物の安全を確保しつつ、安定的な海上輸送を通して我が国経済安全保障に引き続き貢献してまいる所存です。

 海上安全の確保同様に我が国海運の国際競争力強化は最重要事項であり、その中心が海運税制の維持・拡充であります。昨年は、租税特別措置の大幅な見直しが取り沙汰される厳しい状況の中、本年3月末に適用期限の切れるいわゆる圧縮記帳制度と国際船舶の登録免許税の特例、内航関連で中小企業投資促進税制の延長がそれぞれ認められるとともに、バラスト水処理装置の船舶への搭載工事を促進する施策も講じられることになりました。改めまして関係の皆様のご尽力に感謝申し上げます。今後は、トン数標準税制の更なる拡充に向け勉強を開始したいと思います。

 その他、地球温暖化対策として他産業に先駆けてはじまった温室効果ガス(GHG)削減や発効が視野に入ったバラスト水管理条約への対応をはじめとする環境問題、パナマ・スエズ運河通航料値上げの問題、後継者不足が懸念される水先人問題、内航海運が抱える船舶老朽化や船員高齢化の諸課題などに日本船主協会は長期的な視野で取り組んでまいります。

 冒頭にも述べましたが我が国海運産業は2年間に及んだ超円高による未曾有の不況を克服しましたが
こうした努力は必ず報われると私は固く信じております。うま年の本年が皆様にとりましてペガサスのごとく天空を駆け巡る飛躍の年になることを祈念して私の新年の挨拶とさせていただきます。

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