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オピニオン

2014年6月1日

小野理事長

「世の中を動かす」ということ

日本船主協会 理事長
小野 芳清

「世間の人たちは海運のことをよく知らないんですよね〜!!!」「日本の海運税制はグローバルスタンダードからは程遠い!!!」等々、私自身を含め海運関係者が集まれば必ず出てくる話題です。これらの根底に流れる考えはおそらく「海運の重要性に関する世の中の認識が薄くて困ったものだ。」ということに集約されるように思います。私も長年行政の立場から海運関係の仕事に携わっていたため、過去にこれらの言葉を何度となく耳にしました。

これらの認識は“誠に残念ながら”それ自体客観的に見て間違ってはいません。ただ、これらの言葉に接する度に、正直言って私は釈然としないものを感じていました。そこで、釈然としないことに対する私なりの悶々とした自問自答を以下に記してみたいと思います。あえて書くことによって、私自身の頭の整理にもなりますので。

最大のポイントは、海運界が長年にわたり問題を認識しながらそれを克服できないでいるのはなぜなのか?ということです。社会の現実からしていくらもがき苦しんでもそもそも克服困難な問題なのか、問題認識にとどまり具体的な解決策を見つけられないでいるのか、具体的な解決策は分かっていても実現のための行動に出られないでいるのか、あるいは・・・??? 

私の見るところ、個々の分野ごとにフェーズが違っているように思います。

まず、一般広報分野に関しては、関係者各々が一定の解決案を各自お持ちのように感じられます。ただ、残念なことに、せっかく妙案をお持ちでも、関係者間の共通認識がうまく形成されていないため、なかなか実行されないでいる、といったところが一般的状況かと感じます。そうだとすると、この問題は、関係者間の共通認識を形成し実行に移せば”済”となります。

これに対し、国家政策に係る海運税制分野に関しては、問題認識にとどまり有効な解決策をなかなか見出し得ていないのが残念ながら現実のような気がしますので、事態は深刻だと感じています。

“My humble opinion”を言わせていただけば、この“ため息混じり”の海運税制問題解消のためには、「世の中にその気になっていただく」以外に道はないと思います。

では、具体的にどうしたらよいのか? 世の中にその気になっていただく“作業”に最低限必要な道具は、「明確なコンセプトのある“納得”していただける説明」と「世の中に訴えかけるパーフォーマンス」の2つです。この中でも特に「説明」の内容がすべての始まりであり、「パーフォーマンス」はこの説明内容を大前提に、時期や相手に応じて最適なやり方を選択すればよいものです。当然のことながら、世の中が“納得”する理屈は、その社会が置かれた状況やその時代の雰囲気などで変わってきます。さらには世の中のオピニオンリーダーの価値観や言動によっても変わってきます。このようなことを踏まえた上で、世の中は徐々にしか変化しないという現実をも念頭に置きながら、海運界としては、「世の中にその気になっていただき、それを動かす。」という目標に向かって、足場を固めながら一歩一歩しっかりと進んでいくことが結局は最も近道のような気がします。

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