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オピニオン

2016年6月1日

小野理事長

趣 味

日本船主協会 理事長
小野 芳清

「ところで小野さん、御趣味はなんですか?」パーティーなどで一通りの会話をした後によくいただく質問です。
 これに対し私はやや後ろめたさを感じながら「オーケストラでトロンボーンを吹くことです。」と答えます。後ろめたさを感じる理由は、その昔、クラシック音楽が趣味だといったら、「趣味が高尚すぎるんじゃないの!」と冷たい目で見られたことがトラウマとなっていることが主たる原因です。もっとも今となっては、歳を取って腹が据わってきたからなのか、「どう思われようと事実は事実なんだからしょうがないじゃないか!」と開き直れるようになってはきましたが!
 私が所属しているようなアマチュアオーケストラ(アマオケ)は、東京だけでも500前後あると言われています。もちろん演奏レベルは、はっきり言ってピンからキリまであります。中には下手なプロのオーケストラよりも良い演奏をする極めてレベルの高いアマオケもあります。私が所属する「俊友会管弦楽団」は、幸いにして東京では10本の指に入ると思われる水準の高いアマオケです。年2回の定期演奏会やバレエ公演での演奏などのために、NHK交響楽団の現役・OBを中心とした指導陣により原則月2回、日曜日の午後に行われる練習は、大変緊張に満ちたものであり、手抜きができない雰囲気が充満しています。ちょっとでも音程が狂ったり、音をはずしたりすると、途端に団員から白い目で睨みつけられます。そのような緊張感があったとしても、音楽全体の中に自分の音が一体化したり、特にトロンボーンパートの3人の音がきれいにそろい、パイプオルガンのような柔らかく重厚なハーモニーを響かせることができたときなどの快感は、何事にも替え難いものです。(ちなみに「俊友会管弦楽団」を聴いてみてもいいかなと思った方は是非私までご連絡を!!!)
 また、金管楽器の中でもとりわけトロンボーンは、大きな肺活量が要求されます。その昔、大学生の時にプロのトロンボーン奏者のレッスンを受けていましたが、その時も「しっかりと腹式呼吸をし、もっと息のスピードを上げろ。息に勢いがあるかないかがプロとアマチュアの決定的な違いだ。」と何度も注意をされました。トロンボーン演奏には結構体力が必要なことは、意外と知られていないかもしれません。
 海運業界にはゴルフの好きな方が多数おられ、週末ともなればコンペが盛んに行われています。私にも週末ゴルフへのお誘いがあり、誠にありがたいことな のですが、往々にしてオーケストラの練習と重なってしまいます。その際は、誘っていただいた方には誠に申し訳ないのですが、オーケストラを優先させていただいています。というのは、弦楽器と違い、金管や木管の奏者はオーケストラの中では各自別々の音を出しており、一人でも抜けるとハーモニーが成立しなくなってしまうため練習を休めない、という事情があるからです。ある意味ではやっかいな趣味を持ってしまったことになりますが、この歳になって“芸風”を変えるのは難しいため、皆様にご無礼をしております。お許し下さい。
 オーケストラにおけるトロンボーンの役割は、一言で言えば「縁の下の力持ち」といったところです。オーケストラ全体を引き立てる役回りです。仕事の面でも私の役回りは、海運産業界の「縁の下の力持ち?」「黒子」と心得ておりますので、今後ともご理解の程よろしくお願いいたします。

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