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オピニオン

2023年12月1日

土屋副会長

子供たちの船の絵

日本船主協会 副会長
土屋 恵嗣

先日、絵画コンクール「我ら海の子展」(主催:一般財団法人サークルクラブ協会及び公益社団法人日本海洋少年団連盟)の授賞式に明珍会長の代理として参加し、日本船主協会会長賞を山口県の小学2年生 三原慶悟さんに授与しました。作品はどれも力作ばかりで会長賞の選考にはご苦労されたことと思います。

このコンクールは1973年以来開催されている「私の海」をテーマとした、幼児、小学生、中学生を対象とした絵画コンクールで、2023年は全国より3,921点の応募があり、国土交通大臣賞を筆頭に各賞が授与されました。

日本船主協会会長賞を受賞された三原さんの作品のタイトルは「おおきなマグロをつりにいくぞ!」です。そうなのです「日本船主協会会長賞」に描かれた絵は、何と協会メンバ―の皆様が保有している様な貨物船ではなく、漁船なのです。勿論、作品は力強く漁に向かう漁船を描いた力作です。でもなぜ貨物船ではないのか。選考をお手伝いされた森重理事長に伺ったところ、貨物船が描かれた作品がほとんど無かったそうなのです。

日本船主協会で働くようになり、海運に係る広報も業務の一部になりました。小学校への出前授業やコンテナターミナル見学は子供たちに大受けで、目を輝かせて、あるいは大きな驚きをもって、海運の重要性やスケールの大きさを実感してくれています。一方で、子供たちはそれまで海運に接することや、貨物船を直接見たことが殆どないのです。

確かに見たことも無い船を描くことは出来ません。私が子供の頃の横浜では、大さん橋の岸壁や今ガンダムが動いている辺りも出入りが出来て(許されてはいませんが)、船は身近な存在でした。現在では港湾施設の保安は当然ながら厳しくなり、貨物船を生活の中で間近に見る機会はなかなかありません。勿論、色々なイベントで海運を知ってもらうことは重要ですが、例えば出入港や荷役中の船舶が綺麗に見えるビューポイントの紹介など、子供たちの生活の中に船を取り込んでもらうことはできないかと話しています。

小学生の頃に船の絵を描けと言われれば、私の時代は誰が描いてもみんな三島型でした。虹を七色で描くように、船と言えば三島型の印象が固まっていました。一方、私が入社した1983年には三島型は姿を消していましたが、入社以来、ごく最近まで船の形は大型化したとはいえ、ほとんど変わっていません。

これからの子供たちはどんな船の絵を描いてくれるでしょうか。「太いファンネル?」「大きなタンク?」「太陽光パネル?」「帆?」「凧?」とても楽しみですね。

以上
※本稿は筆者の個人的な見解を掲載するものです。

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