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Homeプレスリリース&トピックス2007年 >パナマ運河通航料改定案に関する公聴会について(3月15日)

プレスリリース

2007年3月15日
社団法人 日本船主協会

パナマ運河通航料改定案に関する公聴会について

パナマ運河庁は、2007年2月2日に通航料改定案を発表しておりましたが、これに関する公聴会が、3月14日にパナマシティ・バルボアで開催され、当協会より北米地区事務局の牧野直成ワシントン事務所長が出席致しました。公聴会での意見陳述者は14名で、その内訳は、政府(日本・チリ・エクアドル)、海事関係団体(ICS*1、チリ船協、韓国船協(ASF*2議長国として出席)、シンガポール船協、当協会)、船社(CSAV、WALLENIUS、 CMA ⁄ CGM、 EVERGREEN)、その他2名です。
 当協会は、公聴会に先立ち3月8日に提出した意見書に沿って(1)三年間で26%?34%の大幅な値上げは受け入れ難いこと、(2)料金引上げのタイミングと期間が適切でないこと、(3)既存のユーザーと拡張工事後のユーザーの費用負担が公平ではないことなどを指摘しました。また、現在でも南アジア/北米東岸間の貨物はスエズ運河経由の方が経済的であるため、同運河庁が料金引上げを強行すれば、採算分岐点が香港より北にシフトする可能性があること、更にスエズ運河による料金引下げを示唆する報道がなされていることなどにも言及し、改正案の再考を求めました。
 また、わが国政府を代表して下荒地修二駐パナマ日本大使より、日本政府としては運河拡張計画を強く支持するものであるが、一方、今回の値上げは、現在のユーザーにのみ過大な負担を強いるもので容認できない。また、コストについては更に長期間に均等な形で負担することが望ましいとの見解が表明されました。
 他の海事団体については、去る2月28日に開催されたASF シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(略称:SERC。 委員長:芦田昭充 日本船主協会常任理事・商船三井社長)の要請に基づき、同運河庁に意見書を提出したASFの議長国である韓国船協の他、シンガポール船協とICSより当協会と同様の主旨で反対表明がなされました。
 また、中南米各国からは、2002年の料金引き上げ時と同様、農産物の輸出が深刻な打撃を受けるとの発言がなされております。  なお、陳述された意見の大多数は反対意見であり、その共通点は、当初三年間の引上げ幅が過大で容認できない、既存のユーザーのみに過大な負担を強いるというものです。

 今後、パナマ運河庁は、公聴会での意見を踏まえてボード・ミーティングで更なる検討を行うとのことです。


*1 ICS(International Chamber of Shipping: 国際海運会議所)
各国船主協会を会員として1921年に設立。現在は当協会を含む世界33カ国の船主協会が加盟。本部はロンドン。海洋環境保全、船舶航行安全、海事法制、情報システム、海運政策等について検討を行い、IMO等の国際機関において海運業界を代表する世界的な組織として活動している。今回の公聴会へはTony Mason事務局長が出席。

*2 ASF(Asian Shipowners' Forum: アジア船主フォーラム)
当協会を含むアジア7地域の13船協(豪州、中国、台湾、香港、日本、韓国、アセアン(インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム))により構成。アジア船主海運の利益を促進することが主な目的。


以上

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