平成19年7月16日
社団法人 日本船主協会
「海の日」を迎えて
社団法人 日本船主協会
会長 前川 弘幸
平成19年の「海の日」を迎えるにあたり、ひと言ご挨拶申し上げます。
四面を海に囲まれた島国・日本は、エネルギー資源のほとんどを海外に依存し、衣食住の面で欠くことのできない多くの資源を輸入に頼っています。わが国は、これら輸入物資に加え、工業製品などを輸出していますが、輸出入貨物の実に99.7パーセント(重量ベース)が船で運ばれています。国内物流においても内航海運は貨物輸送量の約4割を占め、物流量基幹輸送として重要な役割を果たしています。海運業なくしては私達の暮らしや産業活動が成り立たないと言っても過言ではありません。
この重要な役割を担う海運が、経済・社会活動のインフラとして今後も安定的に輸送サービスを提供していくためには、外航においては国際競争力の強化、内航においては経営基盤の改善が不可欠であると考えています。そのために、外航海運業におけるトン数標準税制の導入など、必要な施策の実現に向け全力を尽くしているところです。
また、海運事業者にとっては当然の責務ですが、「安全運航の徹底」も安定した輸送サービスの提供には不可欠です。ひとたび海難事故が発生すれば乗組員の人命・積荷・船体に重大な危険を及ぼすだけでなく、海洋環境にも悪影響を与える恐れがあることを認識し、引き続きハード・ソフト両面から「安全運航の徹底」を図ってまいります。
さらに、地球環境への配慮も必要です。大量に効率よく物資を輸送することができる海運は、元来環境にやさしい輸送モードではありますが、事業活動の推進により環境に負荷を与えていることを肝に銘じ、地球環境保全対策の推進に一層貢献できるよう、関係機関とも連携して国内外における諸施策の検討に積極的に参画してまいります。
「海の日」は、海の恩恵に感謝する日として平成8年に制定されました。わが国は、「海上輸送」のみならず、海洋資源や魚介類など海から多くの恩恵を受けています。海の日を通じ、海の大切さ、海運の役割を広く国民の皆様にご理解いただけることを期待しています。
7月16日の「海の日」を迎え、私たち海運業界は、最も海の恩恵を受ける者の一員として、改めて海に感謝し、安全で平和な海の実現と海洋国日本のとこしえの繁栄を祈念いたします。
以上