JSA 社団法人日本船主協会
文字サイズを変更する
小
中
大

Homeプレスリリース&トピックス2008年 > アジア船主フォーラム航行安全・環境委員会第15 回中間会合の結果について(9月30日)

プレスリリース

2008年9月30日
社団法人日本船主協会

アジア船主フォーラム航行安全・環境委員会第15 回中間会合の結果について

今般、アジア船主フォーラム(ASF)航行安全・環境委員会(SNEC)の第15 回中間会合がシンガポールにおいて開催され、添付1 のとおりプレスリリースされましたので、お知らせします。

会議では、ASF メンバーである中国、香港、日本、韓国、台湾、ASEAN の各船主協会とASF 事務局長の出席の下、アデン湾における海賊問題や温室効果ガス削減問題など、船舶の航行安全および環境保全に関する多くの案件について審議されました。

以上

本件に関するお問合せ先 社団法人 日本船主協会 海務部

Tel:03-3264-7177(e-mail:mar-div@jsanet.or.jp) 斎藤


アジア船主フォーラム航行安全・環境委員会第15 回中間会合プレスリリース

アジア船主フォーラム(ASF)航行安全・環境委員会(SNEC)の第15 回中間会合が、2008 年9 月15 日、シンガポールにおいて開催され、船舶の航行安全や環境保全に関する審議(以下概略)が行われた。

・海賊および武装強盗
2008 年上半期の世界の海賊事件は前年同期比9.52%減少した。2007 年上半期は126件だったのに対し、2008 年上半期は114 件だった。
アジア域内における海賊および武装強盗の件数は、2007 年上半期の49 件に比べ、2008 年上半期は45 件と、減り続けている。
アフリカ地域における事件発生は、全世界の発生件数の56%以上を占め、今や最も危険な地域である。アデン湾を航行する船舶は現在最も狙われやすく、襲撃やハイジャックされる危険性が高い。今年に入ってから、50 隻以上の船舶が襲撃され、その多くは、船主への巨額な身代金要求を主な目的とし、重装備の海賊によってハイジャックされている。こうした船舶の多くはアジアの船主によって運航されている。
SNEC は、ソマリアの海賊が船舶の安全航行を脅かすだけでなく、乗組員の生命をも危険に晒しているので、これら嘆かわしく危険な海賊・武装強盗の行為を強く非難した。襲撃される船舶の多くが満載状態のタンカー(VLCC、ケミカルタンカー)であるので、海洋環境汚染の危険性にも直面している。
今年6 月、国連・安全保障理事会は、諸外国の軍艦や航空機が、ソマリア暫定政府と協力して、海賊・武装強盗の鎮圧を目的にソマリア領海内に入り、必要なあらゆる手段を講じることを認める決議第1816 号を採択した。この決議の採択にもかかわらず、海賊による襲撃は一向に減る気配がない。SNEC は、アジア船主の重大な関心に基づき、最近のICS プレスリリースを強く支持するとともに、この問題を解決するための強い政策的意思を実行するようIMO およびすべての海運国に緊急に要請する。各国政府は、可能な限り、中東地域で展開する多国籍軍の配備を増強することが求められる。

会議では、すべての船長に対し、海賊多発地域を航行する場合には引き続き警戒するよう注意喚起した。アデン湾を航行する船舶の船長に対し、UKMTO(UK Maritime Trade Operations)(※1)によって運用される任意位置通報制度の利用および多国籍軍によって設定されたMSPA(Maritime Security Patrol Area)(※2)内の航行を強く促した。

・温室効果ガス(GHG)の排出
2008 年6 月23?28 日の間、ノルウェー・オスロにおいて開催されたIMO のGHGワーキンググループ第1 回中間会合において、主な検討事項である①CO2 設計指標、②船舶効率管理計画を含めたCO2 運航指標、③GHG 削減可能性を含めた経済的手法に関して審議が行われた。
SNEC は、地球環境の保護およびエネルギーを効率よく利用する技術の促進に対する自らの責任を改めて確認する一方、諸対策が注意深く徹底した検討によって為されるべきであり、現実的、実際的かつ実施可能である短期目標と長期目標とに明確に定義されるべきであることを強調した。
特に、SNEC は、提案されている世界的な燃料油課金制度および排出量取引制度のような経済的手法については、実行上、行政上、さらには法制上でさえ問題が山積しているので、注意深く検討すべきであると強い意見を持っている。一方で、SNEC は、現在の燃料油の高騰が燃油節減や排出削減に対して非常に効果的な経済的インセンティブとなっていると考えている。多くの船主は、効率向上のため、入念な航海計画や減速航行をすでに実施している。

(※1)UKMTO :英国海軍がドバイに設置した情報連絡機関

(※2)MSPA :インド洋に展開している多国籍軍(CTF-150)が設定した監視活動水域。さらに多国籍軍は、アデン湾航行船舶の安全のため、監視活動を強化する回廊をイエメン沖に設定した。

以上

  • オピニオン
  • 海運政策・税制
  • 海賊問題
  • 環境問題
  • 各種レポート
  • IMO情報
  • ASF情報
  • 海事人材の確保