8・3 海事振興連盟 内航分科会

 

831 第1回内航分科会

20041130日、衆・参両院の超党派議員で構成する海事振興連盟(会長:関谷勝嗣参議院議員) 第1回内航分科会が開催され、国会関係約80名、官庁・業界約30名の参加を得て、分科会長に山本公一衆議院議員を選出し、内航海運業が抱える問題について論議を行った。

内航業界からは、日本内航海運組合総連合会立石会長、日本長距離フェリー協会谷口会長、内航5組合の代表他、当協会からは内航活性化小委員会前田委員長(当協会理事・近海郵船物流社長)が参加し、「内航海運業の現状と要望」について概要次のとおりの現状説明と要望が行われた。

 

【日本船主協会 理事 内航活性化小委員会 前田恭孝委員長】

CO2削減するため長距離輸送トラックから海運、鉄道を利用するモーダルシフトを推進していくため、日本船主協会の内航活性化小委員会で1年以上に亘り協議しており、主にコスト負担を軽減するため、@税制措置A規制緩和Bインフラ整備の3点を重点にまとめた「モーダルシフト推進に関する要望」を先般、国土交通大臣および海事振興連盟会長に提出したことと併せこの要望概要について説明を行った。【資料8-9参照】

 

【日本内航海運組合総連合会 立石信義会長】

2004年度予算における暫定措置事業の政府保証枠の160億円増額および先の通常国会での『暫定措置事業を今後とも継続して円滑かつ着実に実施すること』という附帯決議に対し、業界として謝意が述べられるとともに、日本経団連2004年規制改革要望の「暫定措置事業の早期解消」について業界として不本意である考えが示された。また、燃料油に係る石油石炭税の特例措置の創設、カボタージュ制度の堅持について内航海運存立の基盤として引続き厳守を求めた。

 

【日本長距離フェリー協会 谷口征三会長および高松勝三郎業務委員長】

要望内容にある航送用シャーシに関する自動車税、自賠責保険、車検制度、車庫規制の問題については、エンジンのついたトラックや専ら陸上を走行しているトレーラーと同じように義務付ける必要はないはずで、それを緩和することによりトラック事業者がフェリー・RO-RO船への利用機会が増えるといった主張を長距離フェリー協会として従来から行ってきた旨、説明があった。

 

以上の説明に対し、国土交通省 矢部海事局長より、できるものから逐次、措置していきたいとされ、暫定措置事業は確実な実施、カボタージュ制度は必要であり堅持、モーダルシフトについては関係業界と対応していきたい旨、説明があった。

また、参加国会議員より、モーダルシフト推進に関する法律を制定することではじめて促進につながるといった主張や、将来の船員不足を見据えた船員対策の必要性などについて意見が述べられた。

 

832 第2回内航分科会

海事振興連盟第2回内航分科会(分科会長 山本公一 衆議院議員)が2005年4月5日(火)に開催された。同会合では、各党派数人づつの議員が参加する形をとり、業界側からは、前回の第1回会合と同様に日本内航海運組合総連合会立石会長、日本長距離フェリー協会谷口会長、内航5組合の代表他、当協会から前田委員長(近海郵船物流社長)が参加した。国土交通省からは、矢部海事局長、星野次長、小野海事局総務課長、矢下国内貨物課長、資源エネルギー庁 野中 石油精製備蓄課長等が出席。内航海運業界に山積する諸問題についての現状認識と対策の方向性について討議を行った。

立石内航総連合会会長より、暫定措置事業における市中、鉄道・運輸機構等からの借入金と解撤交付金の未交付額で合わせて1,000億円近い債務を抱え、先行き予断をゆるさない状況であることから「暫定措置事業の円滑かつ着実な実施」についての関係者の理解と支援を強調。また、次に同事業により船腹量が約2割減少し、ようやく需給が均衡して運賃・用船料回復の兆しが現れ、建造意欲が出てきたなかで、鋼材不足による建造困難な状況が発生。そのため「内航船建造に不可欠な鋼材などの安定供給の確保」についても要請が行われた。これに対し、国土交通省としては、暫定措置事業については十分議論を尽くし、円滑かつ着実な実施に向けて引続き支援を行いたいこと、また、鋼材不足については、海事局造船課と経済産業省鉄鋼課とが緊密な連携をとり、鉄鋼業界に公正で適格な対応を求めていく旨コメントがあった。

次いで、前田内航活性化小委員会委員長は、燃料油価格の高騰から内航船社の経営上危機的な状況下にあるため、「燃料油に関する石油石炭税の減免または還付制度の創設」を強調。石油石炭税の主たる使途である国家備蓄を取崩しによる燃料油価格の沈静化措置等の提案も行った。これに対し、資源エネルギー庁は、国家備蓄を仮に放出したとしても、原油価格は国際市場に左右されるものであり、放出の効果は一時的かつ限定的との考えを示した。

最後に、山本分科会長から、モーダルシフト推進については10数年にわたり検討されているようだが、一向に進んでいないように見受けられる。今後の進め方では、枠にとらわれない実効性ある政策を進めるよう関係省庁に要請があった。