海運事業の中心をなす海上運送業務の特徴は、船舶による大量輸送が、全世界を活動領域として行われることにあるため、環境保全に関しては世界中のあらゆる海域、港域を対象として、あらゆる船舶に対する取り組みが必要である。このため国際海事機関(IMO)による海洋汚染防止条約(MARPOL条約)などの国際条約による規制や勧告など、国家間の協調と合意を基本とした様々な取り組みが推進されている。
しかしながら海運事業者は、これら条約・法律の遵守あるいは各種勧告の積極的な取り入れのみに止まらず、アセアン地域など海外における地域油防除体制の整備支援計画への援助等のインフラ整備を初め、国内における海上災害防止センターの設立・施設改善への協力など、海洋環境保全のための行動の重要性を認識し、これらの行動に積極的に取り組んでいる。
一方、燃料油の燃焼によって生じるCO2、窒素酸化物、硫黄酸化物の問題、あるいはオゾン層破壊の元凶となるハロンガスの回収問題など地球規模の環境保全に関しても、各種条約・法律の遵守あるいは各種勧告の積極的な取り入れのみに止まらず、世界的に掲げられているCO2排出量の目標値の達成などに資するため、海運事業者として「環境保全」と「輸送コストのミニマイズ」という相反する命題に対し、燃焼効率の向上等、船舶運航に係る技術開発に取り組むことが重要である。
こうした認識から、当協会としても例年、総会における決議の一項に、「船舶の安全運航の確保と海洋環境保全の推進」を掲げ、この課題に積極的に対応している。
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