日本船主協会

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■資料1:日本船主協会「環境保全に関する自主的行動計画」

環境保全に関する自主的行動計画

1996年11月
日本船主協会

A.総論

 海運事業の中心をなす海上運送業務の特徴は、船舶による大量輸送が、全世界を活動領域として行われることにあるため、環境保全に関しては世界中のあらゆる海域、港域を対象として、あらゆる船舶に対する取り組みが必要である。このため国際海事機関(IMO)による海洋汚染防止条約(MARPOL条約)などの国際条約による規制や勧告など、国家間の協調と合意を基本とした様々な取り組みが推進されている。
 しかしながら海運事業者は、これら条約・法律の遵守あるいは各種勧告の積極的な取り入れのみに止まらず、アセアン地域など海外における地域油防除体制の整備支援計画への援助等のインフラ整備を初め、国内における海上災害防止センターの設立・施設改善への協力など、海洋環境保全のための行動の重要性を認識し、これらの行動に積極的に取り組んでいる。
 一方、燃料油の燃焼によって生じるCO2、窒素酸化物、硫黄酸化物の問題、あるいはオゾン層破壊の元凶となるハロンガスの回収問題など地球規模の環境保全に関しても、各種条約・法律の遵守あるいは各種勧告の積極的な取り入れのみに止まらず、世界的に掲げられているCO2排出量の目標値の達成などに資するため、海運事業者として「環境保全」と「輸送コストのミニマイズ」という相反する命題に対し、燃焼効率の向上等、船舶運航に係る技術開発に取り組むことが重要である。
 こうした認識から、当協会としても例年、総会における決議の一項に、「船舶の安全運航の確保と海洋環境保全の推進」を掲げ、この課題に積極的に対応している。

B.自主的行動計画

 外航海運会社の場合、全世界を活動領域としているため、環境保全に関する取り組みは、国際海事機関(IMO)において採択されている海洋汚染防止条約(MARPOL条約)など国際条約や枠組みの中で実施していくのを基本としている。なお、これら内容は、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」などにより国内法に取り入れられている。

(1) 上記国際基準には、油性混合物の排出濃度、NOx、SOxなどの排ガス規制値など具体的な数値要件が詳細に規定されている。当協会はこれら基準を遵守するとともに、非強制の自主的な要件についても積極的に取り入れを図り、海洋環境の保護に努める。
(2) 海上人命安全条約(SOLAS条約)で定める、国際安全管理コードに基づいて安全管理システムを導入、確立し、海難事故の防止、操作ミスなどによる油の流出防止に努める。
(3) 従来同様、会員各社および関係船舶に対して、国際基準の内容などについて周知徹底に努めるとともに、必要に応じ説明会等も開催する。
(4) 最新の国際基準に適合している船舶への代替を促進するとともに、低公害、省エネルギー技術の開発と採用に努める。
(5) 国内外で開催される会議等に参画し、海洋汚染に関する調査研究に積極的に協力する。なお当協会が参画しているICS(国際海運会議所:各国船主協会の国際的団体)では、海運業界としての行動規約を別添、参考資料(環境に関する行動規約:省略)の通り定めている。



以上