日本船主協会

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■資料3:環境保全に関する自主的行動計画(第6回フォローアップ)

環境保全に関する自主的行動計画
(第6回フォローアップ)

2003年11月
日本船主協会

 外航海運は全世界を活動領域とし、また、国際的な単一市場であるため、環境保全に関する取り組みは、原則としてすべての海域、港域および船舶に対して同一の基準が適用される必要がある。そのため、1997年12月のCOP3では、外航海運に係る船舶からのCO2等地球温暖化ガスの排出抑制策に関しては国際海事機関(IMO)を通して検討していくことが合意されている。IMOでは、船舶からの温室効果ガス排出に関する実態調査を行い、本年11月24日から12月5日にかけて開催される総会において温室効果ガス削減に対するIMOの方針について決議が採択される予定である。
 当協会は、1996年11月に自主行動計画を策定、さらに2001年1月に環境憲章を策定するなど、環境保全対策を着実に推進してきている。IMOにおける国際的な地球温暖化ガス排出抑制策は未だ検討中であるが、自主的対策を継続して推進していく。
 なお、内航海運については、国内において別途取り組みがなされているところから、本計画は外航海運を対象とした。

1.地球温暖化対策

【1】船舶からの排出抑制対策
(1)二酸化炭素(CO2

 舶用機関は重油を使用しているため、CO2の排出は避けられない。しかしながら、年々増加する輸送需要に応えること、また、燃料効率の優れた輸送モードとしてモーダルシフト施策の重要な役割を担っていくことは社会的責務であると考え、海運業界としては、効率的輸送を行うとの観点から、輸送単位当たりの燃料消費量の削減を目標に取り組んでいく。
 船舶の燃費改善への取り組みは、オイルショックのあった1970年代から1990年代にかけて目覚しい成果を挙げてきていることから、今後の技術革新に同様の期待をすることは難しいであろうが、以下の施策を推進することにより、2010年における1990年に対する輸送単位当たりのCO2排出量を約10%削減していくことを目標とする。

<具体的対策>

エネルギー効率の改善された新造船への代替、省エネ設備の採用等

最適航路計画システムなどの航行支援システムの研究・採用

最船舶における省エネ運転技術の研究・実施、省エネ対策の徹底

推進効率の向上、排エネルギーの有効活用等燃費改善に向けた取り組み

輸送効率向上のための最適船型

(2)代替フロン(HFC等)
 CO2より地球温暖化への影響の大きい代替フロンは、船舶においては冷房等の空調機器、食糧貯蔵庫およびリーファーコンテナ等に利用されている。今後、地球温暖化への影響の少ない冷媒の開発状況を見ながら、その採用に努めるとともに、整備、修理等の際には、当該ガスを大気へ放出することのないよう努める。

【2】事業所等における省エネ対策
 陸上の事業所における冷暖房の温度設定や運転時間の調整、OA機器等の低電力製品の採用等の省エネ対策を、従来同様今後も推進する。

2.廃棄物対策

 船舶から発生する廃棄物は一般廃棄物を含め、国際条約にその処理方法が規定されており、処分の記録も船内に保管することが義務付けられている。これに対応するため、船舶は油水分離装置や廃棄物焼却炉などの処理設備が施されているほか、寄港した港においてはこれらの履行を厳しく監督される。
 今後も国際基準に則り適切に処理していくとともに、廃棄物の発生抑制策などについても検討を行っていく。

3.その他の環境対策

【1】大気汚染の防止
 ディーゼル機関から排出される窒素酸化物(NOx)については、新たな排出規制が2000年から遡及して適用される見込みである。これに適合するエンジンは一般に燃費が悪くなる(CO2発生量増)といわれているが、新たな規制に対応していく一方、燃費を犠牲にしないエンジンの開発を求めていく。また、燃料油に含まれる硫黄分濃度の低い燃料油の採用に努め、硫黄酸化物(SOx)の排出抑制にも努める。

【2】船底防汚塗料の改善
 船底防汚塗料に含まれる有機スズ(TBT)が、海洋生物の生態系に悪影響を与えるとしてそれを規制する国際条約が2001年10月採択された(未発効)。TBTを含まない代替塗料は防汚性能の面で十分とはいえず、燃料消費量の増加等が懸念されているが、代替塗料の採用を進めていくとともに、さらなる性能の向上を求めていく。

【3】安全管理システムの遵守
 一部の船種に適用されていた国際安全管理コード(ISMコード)が2002年7月からすべての船種に適用されており、各船舶管理者および船舶においては安全管理システムが運用されている。また、内航海運をはじめ適用外の船舶においても自主的に安全管理システムの導入を進めており、海上災害および海難事故の発生を防止し海洋環境の保全に努める。

【4】環境管理システム
 引き続き環境保全に向けた取り組みを行っていくほか、ISO14000(環境管理規格)などを視野に入れながら、環境管理に関する体制の整備について検討を行う。

【5】臨港地区における環境保全対策への協力
 海運業界は、昭和51年度より、臨港地区における緑地整備および海面清掃など、わが国各港の港湾管理者が実施する港湾の環境整備に協力している。



以上