[主な事件の概要]
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(1)
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2011年1月15日、0800UTC(世界時)頃、マルタ籍タンカー‘Samho Jewely’がソマリア沖を航行中、オマーンマスカット南東沖約310マイル付近(北緯22度00分、東経064度00分)で、武装した海賊に襲撃され、乗組員21名を人質にハイジャックされた。本船は母船として利用されていたが、1月21日、韓国軍の介入により全ての乗組員が救出された。激しい攻防戦の末、船長が負傷、8名の海賊が殺害された。
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(2)
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2011年1月22日、1236UTC頃、アンティグア・バーブーダ籍一般貨物船‘Beluga Nomination’がソマリア沖を航行中、セーシェル島北沖約360マイル付近(北緯01度49分、東経056度35分)地点で、海賊を乗せた1隻のスキフに追跡、発砲された。本船乗組員はシタデルに立て篭もり、救助を要請したが、海賊は本船を奪うことに成功し、12名の乗組員を人質に取った。その後2名の乗組員が救命ボートで脱出を試み護衛艦に救助されたが、3名は失敗に終わり死亡した。残り7名の乗組員は人質に取られたままであったが、2011年4月13日、本船と共に釈放された。身代金が支払われたとみられている。
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(3)
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2011年1月28日、0400UTC頃、リベリア籍タンカー‘New York Star’が、ソマリア沖を航行中、イエメン・スコトラ島東沖約560マイル付近(北緯11度17.5分、東経063度33.4分)で、母船から出てきたRPG(携帯式対戦車ロケット弾発射機)と銃で武装した海賊を乗せた4隻のスキフに追跡された。本船はスピードをあげ、海賊対処措置をとり、全乗組員がシタデルへ立て篭もった。4名の非武装保安要員がロケットフレアを発射したが、海賊は乗り込みに成功した。船長はシタデルから船主に連絡を取り、IMBに救助要請がなされ、当局まで伝わった。オランダ艦船が現場へ派遣され、2011年1月29日0600UTC頃オランダ海軍乗船チームがタンカーに乗り込み、シタデルに立て篭もっていた23名の乗組員と4名の保安要員が救出された。海賊は艦艇が到着するまでの間に、現場から撤退した。
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(4)
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2011年3月5日、1222UTC頃、バハマ籍タンカー‘Guanabara’がソマリア沖を航行中、スコトラ島北東沖526マイル地点(北緯16度03分、東経062度46分地点)で、1隻の母船とスキフに乗った海賊に追跡された。船長は救難信号を発し回避行動をとったものの、海賊は銃撃後乗り込みに成功した。全乗組員がシタデルへ立て篭もり連絡を取り続けたところ、一隻のアメリカ護衛艦が救助信号を受信し、2011年3月6日、乗船チームが本船へ乗り込み、4名の海賊を拘束、本船は解放された。
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(5)
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2011年9月28日、1145UTC頃、香港籍ケミカルタンカー‘Lime Galaxy’が紅海を航行中、北緯14度02.5分、東経042度49.0分地点にて後方2マイルに位置するスキフに追跡された。スキフは本船船首左舷方向から16ノットで接近してきた。後方1マイルの距離で船長は警報を鳴らし、武装保安要員に警戒態勢をとらせ、全乗組員をシタデルに招集した。0.5マイル地点で、スキフには武装した7名の海賊が乗船しているのが確認された。海賊は0.2マイル地点で、本船船橋方向目掛けてRPGを発射したが当らなかった。武装保安要員が威嚇射撃を行ったところ、スキフは現場から撤退した。
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