[主な事件の概要]
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(1)
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2012年4月6日、0505UTC頃、パナマ籍一般貨物船’Xiang Hua Men’がソマリア沖を航行中、オマーン湾沿岸のバンダル・ジャスク(イラン)南西沖16マイル付近(北緯25度28分、東経057度32分)で、武装した海賊に襲撃され乗っ取られた。船長は警報を鳴らし乗組員をシタデル(船内籠城設備)に招集したが、海賊は乗組員を人質に取りハイジャックに成功した。通報を受けたイラン護衛艦が本船へ接近、海賊との銃撃戦の末、海軍は奪還に成功し9名の海賊を拘束、乗組員28名全員が救出された。
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(2)
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2012年5月10日、0923UTC頃、リベリア籍タンカー‘Smyrni’がソマリア沖を航行中、オマーンのマドラカー岬南東沖250マイル付近(北緯15度58分、東経061度02分)で、自動火器で武装した海賊10名を乗せた2隻のスキフに追跡された。本船はスピードをあげ、海賊対処措置により乗り込みを回避するも、スキフはその後2度目の襲撃を試み24ノットで接近、26名の乗組員を人質に取りハイジャックに成功した。
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(3)
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2012年5月23日、0900UTC頃、米国籍一般貨物船‘Maersk Texas’はソマリア沖を航行中、オマーン湾沿岸のバンダル・ジャスク(イラン)西南西28マイル付近(北緯25度29.6分、東経057度16.8分)で、本船船首右舷方向2マイルのところに10隻のスキフ集団を発見した。前方のスキフが集団を抜け出し20~25ノットで本船に接近してきたため、船長と保安要員は警報を鳴らし、高圧水銃とSSAS(船舶安全警報装置)で対応、スピードをあげ回避行動をとった。スキフが500メートル内に接近してきたので、警告射撃を行ったがスキフはそれを無視し、更に接近してきた。このとき武器を所持しているのが確認された。300メートル地点で再度発砲すると、スキフは本船へ応射してきた。さらに港側からも11隻のスキフが本船へ向かってくるのが確認されたが、これらのスキフは警告射撃により撤退した。本船船首右舷方向のスキフは約12分後、付近のダウ船の方へと去って行った。乗組員にけがはなかった。
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(4)
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2012年6月20日、0505UTC頃、マーシャル諸島籍タンカー‘LNG Aries’がソマリア沖を航行中、オマーンのマシラ島北東沖35マイル付近(北緯20度50.8分、東経059度30.2分)で、ダウ船に乗り、銃とRPG(携帯式対戦車ロケット弾発射機)で武装した海賊に発砲された。ダウ船はタンカーへ接近し50メートル地点で発砲、3発がタンカーに直撃したものの、海賊対処措置により海賊は撤退した。
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(5)
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2012年12月15日、1458UTC頃、デンマーク籍プロダクトタンカー‘Torm Kristina’がソマリア沖を航行中、オマーンのマスカット北西沖約80マイル付近(北緯24度36.2分、東経057度32.3分)で、武装した海賊を乗せたスキフに追跡、発砲された。船長は警報を鳴らして、回避行動をとるとともに、UKMTO(英海軍海運情報センター)に連絡し、救難信号を発信、全乗組員をシタデルへ招集した。付近の海軍が救助信号を受信し乗組員の救出に向かったところ、海賊はすでに撤退しており、タンカーは航行を続けた。
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(6)
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2012年12月18日、1030UTC頃、ソマリアのボサソ港(北緯11度18.1分、東経049度09.26分)において、不法投棄の罪で2012年11月17日からプントランド自治当局に拘束されていた北朝鮮籍一般貨物船‘Dae San’が護衛兵によりハイジャックされた。本船では8名のプントランド海上警察職員(警察官4名、護衛兵4名)が船の護衛にあたっていたが、4名の護衛兵は海賊からの報酬を目的に船をハイジャックしたとみられている。その後本船は引き返し、12月20日ボサソ港へ帰港した。
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