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オピニオン

2009年10月

内航海運と広報

上野トランステック株式会社 代表取締役会長兼社長
(日本内航海運組合総連合会会長)
上野 孝

 内航海運業を中心に身を置くものとして常日頃感じているのは、外航海運と比べて内航海運というのは国民の方々の認知度が非常に低い産業であるということです。内航海運には、外航海運の日本郵船、商船三井、川崎汽船というような非常に知名度の高い企業もなく、また、船で荷物を運ぶという一般の方との接点が非常に少ないことからなかなか身近な存在として認識されないのだろうと思います。
 しかし、内航海運は、国内で輸送される物資の4割弱、鉄鋼、石油、セメント等基礎素材の8割を担い、低廉で環境にやさしい輸送機関として日本の経済社会に大きな役割を果たしています。私どもとしては国民全体に海事産業や内航海運への理解を深めて頂き、この産業を支える人材を育てていきたいという思いは非常に強いわけです。 
 昨年、宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」という映画が大ヒットしましたが、主人公のお父さんが内航船の船長となって登場するこの映画を観ますと内航海運の仕事、あるいは船員さんの仕事の雰囲気がわかります。そこで、開港150周年を迎えた横浜で開催された今年の海フェスタでは、内航業界として初めて参加し、その映画「崖の上のポニョ」の無料上映会を催し、1200人を超えるお子さんや親御さんに内航海運のプロモーションビデオと併せて見ていただきました。この様な映画を通じて、少しでも海や船に対する理解が深まって行くことを期待しております。 
 また、船主協会、鉄道・運輸機構と共同して、海の総合展に海運のブースをつくりパネル、モデル船、操船シミュレータの展示、DVDの放映等を行いました。開催期間中に約1万3千人もの来場者があって盛況であったと報告を受けております。
 一方、最近は、日経新聞にも内航海運関係の記事がよく出るようになりましたし、NHKでも、「週刊こどもニュース」、「首都圏ニュース」、「四国羅針盤」等で内航海運の意義や船員不足問題など30分番組で取り上げられるようになりました。記事・報道の内容は別にして、内航海運という言葉が活字になったり、公共の電波で流れるというのは喜ばしいことです。
 今後とも広報対策の一環として、プレス関係の取材には積極的に協力し、本来、内航海運は私たちの生活に密接な関係のある存在で大切な役割を持っていることを広く社会にアピールしていきたいと思います。

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