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オピニオン

2010年1月

宮原耕治

2010年新春を迎えて

社団法人 日本船主協会
会長 宮原 耕治

新年おめでとうございます。
2010年の年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。

昨年は米金融機関の破綻に端を発する世界的な不況の荒波の中で年が明けました。世界的な景気後退によって荷動きが低迷した結果、わが国外航海運の業績も大幅な悪化を余儀なくされています。各社とも、減速航海や船腹調整に取り組むとともに、あらゆるコストの削減を図るなど収支改善に努めましたが、円高の追い討ちもあって、2010年3月期の通期決算は極めて厳しいものとなる見込みです。今年もまた厳しい経営環境が続くと予想されますが、インフラ投資が必要な新興国の需要回復を梃子にドライバルク市況が上昇しつつあり、また、米国経済に底入れの兆しが見えるなど、わずかながら明るさが見えてきました。

船舶の航行安全に目を転じると、ソマリア沖・アデン湾において頻発する凶悪な海賊事件に対処するため、日本政府は、昨年3月に海上自衛隊の護衛艦2隻をアデン湾に派遣し、海上警備行動に基づく商船の護衛活動を開始しました。6月には海賊対処法が制定され、7月より同法に基づく護衛活動が展開されています。自衛隊の国外での活動に慎重論が根強いわが国において、比較的短期間に護衛艦派遣、新法成立を実現できたことは、画期的と言えます。ここに至るまでの国会の諸先生方および関係当局の多大なるご尽力、国民の皆様のご理解に改めて厚く御礼申し上げるとともに、現地で商船の護衛に奮闘されている自衛官・海上保安官の皆様に深く感謝申し上げます。

安全運航と共に重要なのが環境保全です。特に地球温暖化問題については、昨年12月に気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP15が開催され、その動向が世界的に大きく注目されました。国際海運においても、IMO(国際海事機関)を中心に温室効果ガスの削減に積極的に取り組んでおり、当協会としても、国際海運の特殊性を踏まえた効果的かつ実効性のある削減対策が実施されるよう、関係当局等と連携して取り組んで参ります。

これらに並び、国際的な競争条件の均衡化を図るための海運税制の維持・改善、日本人海技者(船員)の確保・育成、日本籍船に乗組む外国人船員の承認制度の合理化・簡素化、水先制度における競争原理の導入など課題は数多いですが、一つ一つ問題の解決に全力を尽くしていく所存です。

内航海運においては、船員不足対策やカボタージュ制度の堅持などの重要な政策課題に加え、高速道路無料化に向けた検討及び地球温暖化対策税制導入議論の浮上など問題が山積しております。国内物資の安定輸送を維持するために、引き続き支援を関係方面に要請していきたいと思います。

本年も皆様から特段のご指導、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。

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