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オピニオン

2010年8月

小出常任理事

「センシュ協会」

日本船主協会 常任理事
第一中央汽船株式会社 代表取締役 社長執行役員
小出 三郎

 昭和46年春。その年、海運会社に就職する百名近い新人は、恒例のセンシュ協会主催の研修会に参加することになった。センシュ協会ってなんだ? ふなぬし協会じゃないの? どこで研修やるの? センシュってあるから千駄ヶ谷の東京体育館か。代々木の岸記念館かな?
今、私達業界人が当たり前のように使う名称、センシュ協会も一般の人が聞いたらこの新入社員たちと同様の反応では。いつからか海運業界はメデイア・世間感応度が鈍くなっているのでは。どうせ特殊な業界だから世間一般の人は僕らのこと判らんでしょう、
というような諦めにも似た気分が、我が業界には昭和から平成にかけ蔓延していたような気がしますが、その残滓が今でもありか? 我が業界への世間認知度、新卒の人たちからの知名度、相当低いか?

一方、この数年でやっと「トン数税制」と「海賊」のおかげでついに一般紙に我が業界が見出しになることもあるようになりました。そして当協会もついにメデイア露出を少しばかりするようになりました。がしかし、当協会が音頭取りとなり声をあげても「センシュ協会」、あるいは「センキョウ」ってなんだろなという声は、おそらく国会議員先生、一般メデイアの間で囁かれているのではないでしょうか。この際「日本海運協会」に名称変更してほしい。一目瞭然。小学生でもじいちゃん、ばあちゃんにもわかる。
悲しいかな「海運」とつけてもでもなかなか分かってもらえません。そもそも海運自体への理解がこの国では中々捗っていません。数年前海外出張へ出た時、日系航空会社の客室乗務員より「海運会社ご勤務だそうですけど、どんな船造っているんですか?」だとさ。同窓会でも、「どんな船に乗ってるの?」などと聞かれる始末。それでも「センシュ協会」より「海運協会」が断固いい。「自動車工業会」、「鉄鋼連盟」などがすぐ判るがごとく。「海運協会」は判りやすい。「船主」と言う言葉の使用は英語の直訳か? 中小船主への配慮か? 海運がみんなの海運になるためには絶対「海運協会」のほうがいいでしょう。因みに50年近く続いた「仲立業業組合」は今世紀に入り「ブローカーズ協会」への変更の英断にでた。「日本海運協会」への名称変更に反対の方、連絡下さい。
ついでながら「カイジ」。音だけだとさっぱり。海事と漢字にしても商事は市民権獲得しておるようですが、海に関するなんのことかな、が一般的な反応では。「海事教育」「海事新興」「海事科学部」などは命名した方々の思いは痛いほどわかりますが、半径50メートル程度の我がコミュニテイーでしか通用しないのでは。「カイジ」ではなく「海運」あるいは「海運関連」、「海運・造船」でどうでしょう。
さらについでながら「内航」。ガイコウは輸出でナイコウは輸入かとこどもに問われたことあり。ナイコウの語感、よくないのでは?「国内海運」にしませんか。飛行機は国際線、国内線。海運も国際海運、国内海運ですっきりしたい。従い「内航総連」は「国内海運総連」。このほうが百倍判りやすい。

 以上、センキョウ、カイジ、ナイコウの世間認知度劇的向上を祈念しつつ。

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