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オピニオン

2015年8月1日

小林副会長

エネルギーサプライチェーン
における海運

日本船主協会 副会長
JXオーシャン 代表取締役社長
小林 道康

我が国は四海を海に囲まれ、国民の生活に欠かせないエネルギーの調達と適切な需給は国家的に重要な命題となっています。その輸入のほとんどは海外からの輸入であり、小資源国である我が国の置かれた現状であります。

 産業・運輸・消費生活などに必要な動力の源である「エネルギー資源」、化石燃料と呼ばれる石油・液化石油ガス・石炭等は、海外の産油国から輸入し、製油所で精製プロセスを経て、ガソリン・灯油・軽油・重油・LPガス・石油化学用のナフサ等といった石油製品を生産・供給します。その製品をタンクローリー等の輸送手段によって企業・ガソリンスタンド等に輸送し、最終消費者の購買までの一貫したエネルギーサプライチェーンの構造が成り立っています。
 エネルギーサプライチェーンにおいて、資源エネルギー産出国から精油所等までの輸送は、「海運」が大きな役割を果たしています。

 海運は、低速である限りは重量・距離当たりのコストが他の運輸手段に比べて格段に安く、大量・長距離の輸送に適しています。原油・液化石油ガスといった液体を安く大量に輸送する手段としては、その優位性は揺るがないものとなっています。特に島国であり、エネルギー資源のほとんど100%近くのものを輸入に頼る日本においては、必要不可欠な存在です。
 海運会社は、永年に亘り培ってきた技術力と専門力、そしてそれに裏打ちされた安全運航、つまり「海技力」をさらに高める努力を日々行っています。

 しかしながら、一般の方々から見ると海運の認知度は低く、その重要性もあまり理解されていないように思われることもあります。

 さて、先月の7月20日は、祝日制定から20回目の節目にあたる「海の日」で、日本船主協会では今年度の主要課題の一つとして挙げていた、海運の重要性に対する一般の理解を深めていくための広報活動の展開を揚げており、あらゆる機会をとらえて海運の認知度向上のために各船社・団体等が様々なイベントを開催してきました。

 こうした地道な活動が近い将来、「海運」の認知度向上につながるとともに、海運会社が社会的に重要な役割を果たしているという理解を広くもたらし、そのような意識を持った若い人たちに海運会社に来てもらいたいと思います。

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