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オピニオン

2017年1月1日

工藤会長

2017年新春を迎えて

一般社団法人 日本船主協会
会長 工藤 泰三


あけましておめでとうございます。
年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。

 昨年は、6月の英国のEU離脱決定や11月の米国大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の選出など、垣根のないグローバル社会や世界経済にも大きな影響を及ぼしかねない出来事が相次ぎました。
 他方、海運業界にとっても、未曾有の市況低迷や海外大手コンテナ船社の経営破綻など、これまでにないほど厳しい状況に直面した年でありました。

 このような状況にあって、船主協会では、我が国海運産業の将来をにらみ、昨年は以下のような活動を地道に展開いたしました。

 まずは海運税制への取り組みです。外航海運産業にとって極めて重要な税制である「特別償却制度」「圧縮記帳制度(特定事業用資産の買換特例)」「トン数標準税制」が要望時期を迎えたため、国土交通省と緊密に連携し関係方面へ粘り強く要望活動を行いました。その結果、何れもほぼ要望通りの内容で延長・拡充が認められました。これも、国会議員の諸先生方の海運産業界に対する深いご理解と国土交通省ご当局のご尽力の賜物です。また、造船業界に加え、経団連や地方銀行の皆様からも大きなご支援をいただきました。紙面をお借りいたしまして皆様方に心から厚く御礼申し上げます。
 トン数標準税制については、今後、海上運送法の一部改正等が必要となりますので、引き続き関係の皆様のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 さらには、一昨年から力を入れております海事産業の認知度向上に向けた広報活動についても、政府や日本財団が中心となり推進した「海と日本プロジェクト」の一環として、「船ってサイコ~2016」と銘打ち、商船の一般公開を全国各地で展開し、多くの児童・生徒の皆さんや小中学校の先生方にも大きな船を実際に見ていただくことができました。この取り組みの中では、初めて他の海事団体と共同で、造船所で建造中の船舶の見学会等も実施しました。一人でも多くの皆様、特に子供たちに、船を身近に感じていただくとともに、海事産業の重要性を理解していただくことは何よりも優先すべき課題と考えております。本年も他の海事団体等との連携をさらに深め、あらゆる機会を通じてこのような活動の強化を図って参ります。

 また昨年は、バラスト水管理条約の発効要件充足や硫黄酸化物(SOx)排出規制時期の決定、さらには地球温暖化への取り組みの強化など、海運産業に大きな影響を及ぼす環境規制の新たな動きがありました。海を事業の場としている海運産業界の責務として、IMO(国際海事機関)で決定されたルールに従って海洋環境保護に積極的に取り組んで参る所存です。一方、わが国を始めとする各国政府の海賊対処活動のおかげをもちまして、最近はソマリア沖・アデン湾海域における海賊被害の報告は激減しております。しかし、その他の海域では依然として凶悪な海賊事案が報告されております。海運産業界では引き続き自衛措置を講じて参りますが、各国政府におかれましても一層緊密に連携して、海賊の根絶に向けた活動を力強く継続していただきたいと願っております。

 当協会は、わが国の経済と国民生活の安定的な発展のため、国際海上輸送力の確保に向けより一層努力をしてまいりますので、引き続き関係の皆様のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 最後となりますが、本年の干支は酉であり、昔から商売繁盛の象徴という意味もあり縁起が良い年と言われておりますので、この一年が皆様にとって幸多き年でありますよう祈念いたしております。

以上

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