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オピニオン

2019年8月1日

広瀬副会長

日本船主協会 副会長就任に際して

日本船主協会 副会長
JXオーシャン 代表取締役社長
瀬 隆史

新たに副会長に就任しました瀬です。

私は、前職を含め一貫してエネルギー業界に居りました関係で、日本船主協会(以下船協)の何人かの役員の方々とは以前より面識があり親しくさせていただいておりました。こうした形で改めて関わりを持つことに不思議な縁を感じております。船協の活動については、これまでの積み重ねてこられたことを粛々と継続していくことになろうかとは思いますが、皆様方には、ご指導ご鞭撻の程、まずはこの場を借りてお願いする次第です。よろしくお願いします。

さて、私の船協における初仕事となったのは、5月末にタイのバンコクで行われたアジア船主協会(ASA)での年次総会におけるシップリサイクル委員会への参加です。同委員会は「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(以下シップリサイクル条約)」発効に向け、各国へ早期批准を呼びかける(とりわけ中国、インドへの呼び掛け)とともに世界的な解撤ヤードにおける環境改善の後押しをしていく活動に取り組んでいるのですが、こと船舶解体(解撤)については、労働集約産業と言うこともあり、各国の利害、思惑が表面化し、国際会議で意見をまとめることがいかに困難であるかということを目の当りにすることとなりました。

とは言え船舶をより良い資源として循環させる環境整備をすすめるために、プレスリリースされた「南アジア諸国の可能な限り早期批准に向け、シップリサイクル施設とその運営基準の改善を促す」べく、これまで通り働きかけを継続していくこともそうですが、問題点を整理したうえで、これまで以上に意思疎通をはかって取り組んでいかなければなりません。会議での多少の混乱がシップリサイクル条約そのものへの不備や不平を唱えるものではなかったことから、委員会の取り組みの方向性が多くの関係者に共感を得、支持されることが肝要ではないかと。目標までの道のりは残念ながらまだまだ長いように思えましたが、道なき道を行くのではなく既に道は通っている。あとは歩みを早め前進するのみ。と言うところが初仕事における所感でした。

シップリサイクル条約にかかわる問題は、船協が取り組むべき数ある課題、懸案のうちの一つでしかありません。いずれも一筋縄では行かない問題ばかりかとは思いますが、その一助となるべく船協の一員として取り組んでまいります。

具体的なところでは、船協の重要課題に挙がっていることですが「海運の重要性に関する認知度向上」について、こちらも積極的に後押ししていきたいと考えています。将来的には認知度向上にとどまらず船会社への応援者を増やすことにつなげたいと。万一、弱っていても力強い声援があれば前に進む勇気が湧いて出るものです。敵味方なんて言うのは如何かとは思いますが一筋縄では行かない問題を速やかに解決するにも、大勢の味方が必要なはずですから。

以上

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