JSA 一般社団法人日本船主協会
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オピニオン

2019年12月1日

中島副会長

大切なものは、目には見えない

日本船主協会 副会長
中島 孝

6月末に日本船主協会(以下JSA)に着任し、あっという間に約4カ月が経ちました。

着任早々よりJSAの活動範囲の広さ、深さに驚くと同時に、船会社で37年間も働いてきたにもかかわらず、「海運に関わることなのに、なんと多くのことを自分は知らずにいたのか」「そういった海運に関わる自分の知らない大切なところを、なんと多くの関係者の方々が業界を支えてくれていたのか」ということを思い知らされ、大切なものが見えていなかったことに気づかされました。

なお、わたくしが気づいた業界を支えてくれている関係者の方々とは、海事振興連盟などを通じ幅広いご支援をいただいている国会の先生方はもとより、国土交通省、海上保安庁、防衛省(ソマリア沖海賊対処活動の自衛官の方々を含め)、外務省(世界各地の在外大使館を含め)、文部科学省、内閣官房、内閣府をはじめとする官公庁の役職員の皆さん、商船系大学・高等専門学校、海技大学校、海上技術学校・短期大学など海事教育機関の皆さん、審議会などを通じサポートをいただいている学識経験者の皆さん、日本海運集会所をはじめとする各種海事関係団体の皆さん、海事広報の一翼を担う海事メディアの皆さん、海陸の仲間たちを支える全日本海員組合の皆さん、そしてわれらがJSA、日本船主協会事務局の役職員の皆さんといった、海事に携わっていただいている多くの方々のことです。

一方、世間に思いを巡らすと、JSAは、国民生活、経済に欠くことのできない海運に対する国民の理解を広げるための広報活動を積極的に展開しており、来年度の小学校教科書への海事・海洋関連の記載の充実など、その成果は着々とあがっていますが、インフラのインフラ、ライフラインのライフラインともいえる、外航および内航海運の重要性、日本商船隊の重要性、そしてそれを支える日本人船員の重要性などについての国民の理解は、いまだわたしたちが期待するレベルにまではいたっておらず、いわゆる「大切なものは目には見えない」状態にあるのではないでしょうか。

ちなみに、この『星の王子さま』のキツネさんの有名なセリフ、「大切なものは目には見えない」は、もともとこのような意味でつぶやかれているわけではないのですが、「海運は、目には見えない大切なものであること」「その海運が多くの方々に支えられているということが、目には見えない大切なことであること」「そんな海運の大切なことを先ずわたしたち業界の一人一人がきちんと認識することが、目には見えない大切なことであること」、そして「わたしたち業界の一人一人が、その思いをご家族、ご親戚、ご友人など身近な人たちに伝えていくことが、目には見えない大切なことであること」「その結果として、国民の海運への理解がじんわりと広がっていくことが、目には見えない大切なことであること」などと、自分の想いを自分勝手に重ね合わせることができる、不思議なセリフ、奥の深い言葉です。

というわけで、JSA着任前の自らの不明に反省しつつ、「海運にかかわる目には見えない大切なこと」に思いをはせる、令和元年の師走の夜長です。

以上

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