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2025年2月1日

土屋副会長

社長の年頭挨拶

日本船主協会 副会長
土屋 恵嗣

皆さん、今年の長いお正月休みは如何だったでしょうか。私はこの原稿を「成人の日」の連休中に書いていますので、読者の皆さんとは季節感がずれた内容で恐縮です。

さて「仕事始め」と言えば社長の年頭挨拶ですね。社長からすれば、役員・社員そしてメディアやホームページを通してステークホルダーに自分の新年の思いを伝える大切な機会です。私も社長の端くれだったことがあり、正月休みは年頭挨拶の原稿に頭を抱えながら何度も手を加えていました。

今回の拙文は、その様な各社の社長の深い思いのこもった文章を味わうことなく、単純に今年の日本船主協会会員会社の社長の年頭挨拶において、どの単語が何回使われたかを調査することによって、日本の海運業界が、今年何を考え、何に向かおうとしているのか、推測を試みたいと思います。調査の方法は私が発見できた限りで、会員のホームページ上に掲載された各社社長の年頭挨拶で使われた名詞の数を集計してみました。

3回以上使用された名詞は全部で163あり、最多は「事業」の37回、次いで「グループ」の36回、「経営」の27回、「成長」の26回と続きます。やはりグループ経営による成長への強い意識は各社に共通している様です。更に「計画」「中期」の14回(10位)、「長期」の6回(50位),企業価値の8回(37位)等を見ると各社が経営計画に基づく企業価値の向上を目指していることも伺えます。

環境関連では「環境」の22回(6位)、「燃料」の17回(8位)、「ゼロ」の7回(39位)、「GHG」の6回(50位)、「エミッション」「脱炭素」の4回(89位)等がリストに現れ、他にも「アンモニア」「カーボン」「ニュートラル」等が3回(119位)見られますが、メディア等での日常の取り扱われ方と比較すると順位が低いとの印象を受けます。

一方で「人材・人財」の13回(16位)、「人」の10回(28位)、「組織」「働きがい・働き方」「一人一人」の5回(67位)、等社員の働き方を意識したと思われる言葉が思いのほか多出するのは、これから労働人口が減少する中で社員を重視するとの各社社長の思いの表れでしょうか。

皆さんの感覚と以上の結果に齟齬はありませんでしたか。私としてはもっと環境や新技術関連の言葉が上位に来るのではと予想していましたし、中東情勢やウクライナ問題、トランプ大統領就任等も上位を想定していましたが、国際情勢には触れても言葉の出現回数としては上位には至らなかった様です。やはり各社の社長は大所高所から中期長期の経営と、企業の重要な財産である社員を重視しているということでしょうか。

以上
※本稿は筆者の個人的な見解を掲載するものです。

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