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オピニオン

2025年3月1日

田渕常任理事

『令和7年度の内航海運を思う』

日本船主協会 常任委員
田渕ホールディングス 代表取締役社長
田渕 訓生

日本船主協会のオピニオンへの寄稿は、今回で6年連続の6回目になります。

第1回目は2019年度『令和時代の内航海運ビジネスについて』として令和2年度中の暫定措置事業の終了を鑑み、その後も内航海運業界のまとめ役(新総連合会)が必要であることを論じました。第2回目は2020年度『内航小型船舶における諸問題について』と題して内航のカボタージュ制度を中心に話をし、第3回目、第4回目といたしましては、令和4年5月より船員法改正による内航海運の働き方改革の種々問題点と益々厳しくなっていく船員問題をどう対処するか?などを述べております。(あくまで私の持論でありますが)今後、船舶管理の難易度が間違いなく上がってくるという話をいたしました。(下記の通り対策もすこし書かせていただきました。)

さてそれでは令和5年と6年はどうなったかと言うと中国経済のバブル崩壊のため、鉄鋼、石油化学などは日本企業も大きく影響をうけて、全体的に不景気で仕事量が減ってしまいました。石油関連はインバウンドの影響により白油、ジェット燃料などが好調ですので、ケミカル船などは主力の石化製品の輸送が2割ほど減ですが、白油輸送のアルバイトをして、船舶の動きが丁度いい具合になった様です。

すこし話は変わりますが、政治的背景から国土交通省海事行政におきましても今後は税制関連を含め取り決めが難しくなってきております。われわれは一般国民に対しより一層、海運業の認知度、重要性、必要性を高めるべく広報活動に力を注がなければならなくなりました。

われわれ内航海運におきましては物流の2024年問題をバックに、海事局内航課のお力添えをうけて昨年4月より内航総連(栗林会長)にて安定効率輸送委員会(後藤田委員長)が設置されました。ここでは荷主対話と日頃の商習慣の再確認とおかしなところがあれば話し合いの中で是正処置を行うこと、さらに荷主側の自主行動計画の策定協力など、私もケミカル船座長を務めさせて頂き大忙しの1年でした。大きな成果が出るべく頑張っております。われわれ海上物流会社の使命は徐々にではありますが船員の労働条件改善が進み、船員の絶対数の増加、さらに船員の地位向上、まさに四面を海に囲まれた海洋国家日本の理想的な物流体制になっていくことを目標に日々頑張っております。AIなどによる物流DXが完了するその日まで(10年以上はかかりそうです)強烈な人手不足と対峙しながら、船舶管理の難易度が高い昨今ではありますが、われわれの使命はその多くの課題を把握し、ひとつひとつクリアすることであると思う今日この頃です。

以上
※本稿は筆者の個人的な見解を掲載するものです。

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