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2026年9月1日

宮澤副会長

難局を越える
「バイキング・ロウ」の精神
〜海上輸送の重みと責任を胸に、
 一致団結して前へ進む〜

日本船主協会 副会長
ENEOSオーシャン 代表取締役社長
宮澤 章

このたび、日本船主協会の副会長に就任しました宮澤です。

まずは、7月28日に発生した令和8年熊本地震により、犠牲となられた方々に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

私は、これまでエネルギー製造分野に長く籍を置いており、直近では原油中継・備蓄基地におりました。このたび、原油タンカーでの荷を受ける側から運ぶ立場となり、海上輸送の重みと責任を改めて深く認識しております。日本船主協会での活動は、これまでの経験を活かし、微力ながら協会活動の充実と海運業界の発展に貢献できればと思っております。関係各位におかれましては、引き続きのご指導とご鞭撻を賜りますよう、この場をお借りしてお願い申し上げます。

さて、中東情勢ですが、本稿を執筆している7月中下旬には米国とイランの停戦合意に基づく停戦期間に日本関係の船舶もペルシャ湾からホルムズ海峡を通過したとの報道にホッとしたのも束の間で、再び海峡封鎖のニュースが飛び込んでくる状況に全く先が見えなくなりました。加えて、紅海の南側出口のバブルマンデブ海峡までも事実上の封鎖となり情勢は一層不透明さを増しています。本稿が掲載される頃には、これらの海域で船舶が安全かつ自由に航行が回復していることを切に願っております。

一方、ホルムズ海峡関係の報道では、海上輸送を担う船舶の映像、記事が多く取り上げられ、我が国のエネルギー、食料品、日用品など多くの物が大型船舶によって諸外国から運ばれていることを改めて広く知ってもらえる機会にもなったと思います。更に、船舶の安全航行の大切さも同時に知ってもらえたとも思っています。

また、原稿執筆の同時期に、サッカーの世界一を決するワールドカップが北中米(カナダ・アメリカ・メキシコ)の会場で熱戦が繰り広げられていました。日本代表も見事に予選ラウンドを突破して、悲願の決勝トーナメントでの1勝を期待しましたが、残念ながらサッカー王国ブラジルに惜敗してしまいました。大会は、決勝戦で延長の末にスペインが連覇を狙っていたアルゼンチンに1対0で競り勝ち、4大会振りの2回目の優勝を手にしました。

サッカーの試合では、各国の代表チームの活躍が、その国民を団結させる力があると感じました。私個人として印象に残った試合の一つに準々決勝のノルウェー対イングランドの試合があります。試合は、イングランドが勝利したのですが、敗れてしまったノルウェーの応援「バイキング・ロウ(Viking Row)」が素晴らしかったです。このバイキング・ロウは、太鼓の音に合わせて応援団が一体となりオールを漕ぐ動作を繰り返すもので、ノルウェー応援団と選手の一体感は今回のワールドカップでも話題となり、世界のメディアでも取り上げられていました。そもそも、ノルウェーのあるスカンジナビア半島は切り立った崖が多いフィヨルドや山岳地帯も多く、陸路での輸送ではなく船による輸送で発展したと言われており、こうした土地に根差したこの応援には、力を合わせて困難を乗り越える精神が象徴されており、まさに海上輸送の原点にも通じるものがあるように思います。

中東情勢をはじめ、海運業界を取り巻く環境の厳しさは増しておりますが、こうした時こそ、一致団結し、呼吸を合わせ、「バイキング・ロウ」の精神でこの難局を乗り切ってまいりましょう。

以上
※本稿は筆者の個人的な見解を掲載するものです。

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