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オピニオン

2026年10月1日

栗林副会長

安保三文書改定をめぐって

日本船主協会 副会長
栗林商船 代表取締役社長
栗林 宏𠮷

2026年も年明けからアメリカのベネズエラ奇襲攻撃で始まり、2月末にはアメリカとイスラエルがイランを攻撃。すでに4年を超えているロシアとウクライナの紛争や、イスラエルのガザへの攻撃が続く中、世界は更なる大きな紛争に直面することとなった。

その後の経緯は皆様よくご存じのとおりで、イランによるホルムズ海峡封鎖というあってはならない事態が起こり、世界経済は大混乱に陥るも、何とか6月17日には停戦の覚書を締結。しかしその後の交渉の失敗により覚書は失効し、事実上の封鎖が現在まで続いている。世界の安全保障環境は予想外の展開を見せ、今後も予断を許さない状態にある。

そんな中で日本では、いわゆる安保三文書の改定作業が進められている。この改定作業は数年毎にあり、前回は2022年末に改定されているが、今回はなぜか初めて内航総連の会長にまで改定作業のご説明に上がりたいと防衛省から連絡があり、どんな話かとご説明を伺った。

防衛省からは審議官級の幹部を含む3名でお越しになり、資料に基づいて説明がなされた。まず、なぜ内航総連の会長に説明に来るのかについては、前回の三文書改定の際に、より広く国民にご理解を頂く必要があったと考えたため、その反省から事前に民間の企業・団体を回ってご説明しているとのことで、特に何か協力を求めるものではないとのことであった。

その後資料では、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であるロシアのウクライナ侵攻がすでに4年以上継続していることや、イスラエル・アメリカとイランによる攻撃の応酬が発生していることに触れた後、近年中国がいかに国防費を増やし、また軍事的な活動を活発化しているかとか、新しい戦い方と言われる無人アセットの大量運用やAIを活用した情報共有と意思決定が重要となっている事や継戦能力の確保維持が課題となってきているとの説明があった。

これに対しわが国としては、わが国自身の防衛力の強化、日米同盟の抑止力の強化、同志国との連携強化を基本に、新しい戦い方への対応や持続的な対応能力の確保を行う予定とのことだが、アメリカが国家安保戦略において米本土防衛最優先を明言し、対中抑止や第一列島線の拒否的防衛を国防戦略に記述する事態にあっては、いくら同志国と連携の上とはいえ、防衛予算を積み上げ中国や周辺国に対峙し、シーレーンの安全確保を行うことは並大抵のことではないと感じた。

感想として私からは、防衛力強化で攻撃されない日本を作ることも大事であるが、緊張が高まらないよう外交関係を良く保つ努力も必要なのではないか。内外航とも海運は平和の産業であり平時が大前提で成り立っていて、有事の時にどれほどの混乱と犠牲を強いられたか、先の大戦で明らかである旨申し上げた。

防衛省幹部からは、仰ることはごもっともで、防衛省も紛争を抑止する必要があるので、外交は重要だと考えている、いろいろなルートでの取り組みが大切だと述べられた。

私からは再度、内外の政治環境が大きく変わる中、引き続きの外交努力をお願いした。

以上
※本稿は筆者の個人的な見解を掲載するものです。

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