[主な事件の概要]
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(1)
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4月25日、パナマ籍原油タンカー“Isuzugawa”が、ペルシャ湾から日本に向けアデン湾東方沖約760マイルの海域(アラビア海)を南下中、自動小銃とロケットランチャーで武装した海賊から追跡および銃撃を受けた。本船は回避行動(ジグザグ航行等)をとり、海賊の襲撃を振り切った。本船は銃撃により軽微な船体損傷を受けたが、航行に支障はなく、目的地へ向け航行を継続した。
当該海域において続けて他2件の未遂事件の発生があり、ペルシャ湾就航船においてもソマリア海賊への警戒を強める契機となった。
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(2)
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5月5日、リベリア籍原油タンカー“Moscow University”が、ソマリア東方沖約300マイルの海域において武装した海賊から追跡および銃撃を受けた。海賊は本船への乗り込みに成功、本船では艦艇に救援を要請するとともに、乗組員を操舵機室に避難させ篭城した。その約24時間後にロシア海軍が強襲し本船を奪還、海賊を拘留した。本船は船体に損傷を受けたが、乗組員は無事であった。
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(3)
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6月24日、マーシャル諸島籍コンテナ船“YM Taichung”が紅海南端のBab El Mandeb海峡を航行中、4隻の海賊ボートが接近してきたため、船長は本船の速度を上げ、海賊防止対策をとった。海賊ボートは約21.5ノット(約38.7km/h)のスピードで本船船首に回り込み、さらに4隻の海賊ボートの接近が確認された。船長は最大速力まで上げるとともに、海賊回避の操船を行った。海賊ボートはスピードを落とし、追跡をあきらめた。
6月以降の夏季モンスーン時季に入ってから、紅海での海賊発生件数が急増している。いずれも未遂事件であったが、2010年上半期の件数15件のうち、9件は6月に発生した。
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(4)
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4月7日、南シナ海のMangkai島沖を航行中のシンガポール籍原油タンカー“Theresa Libra”に、蛮刀等で武装した8人の海賊が侵入した。海賊は、当直航海士および船長を人質にとり、乗組員所有の金品を強奪して逃走した。
南シナ海における海賊事件数は2009年より増加している。2008年の発生件数はゼロであったが、2009年は13件、2010年は上半期で15件を数えた。
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