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プレスリリース

2007年12月5日
社団法人日本船主協会

アジア船主フォーラム(ASF) 航行安全・環境委員会(SNEC)
第14回中間会合の結果について

アジア船主フォーラム(ASF)航行安全・環境委員会(SNEC)の第14回中間会合が、2007年11月30日(金)、バンコクにおいて開催されました。会議には、ASFメンバーである中国、香港、日本、韓国、台湾、ASEANの各船主協会より26名が出席したほか、オブザーバーとしてアジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)より参加がありました。
 会議では、船舶の航行安全および環境保全に関する多くの案件について審議されました。主な案件の審議について添付のとおりお知らせいたします。

本件に関するお問合せ先 社団法人 日本船主協会 企画部

Tel:03-3264-7177
半田・斎藤


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アジア船主フォーラム 航行安全・環境委員会 第20回中間会合
プレスリリース

アジア船主フォーラム(ASF)航行安全・環境委員会(SNEC)第14回中間会合が、2007年11月30日、バンコクにおいて開催され、船舶の航行安全や環境保全に関する案件について概略以下の審議が行われた。

海賊および武装強盗

SNECは、2007年第1?3四半期の世界の海賊および武装強盗事件が増加していることに懸念を持って留意した。アフリカ地域における発生は91件と、世界全体の50%近くに上り、今や最も危険な地域に位置づけられる。その増加は特にソマリアおよびナイジェリアにおいて顕著である。現在までにソマリア沖において13件のハイジャック事件が報告されており、これは2006年に発生した件数(5件)の約3倍に当たる。
 さらに、東南アジア地域においては59件が報告されており、2006年から大きく減少したが、未だ世界全体の約30%を占め、発生件数が2番目に多い地域に位置づけられることに留意した。この59件のうち45件は、船舶が着岸中または錨泊中の盗難であるが、14件は船舶が航行中に発生している。
 SNECは、マラッカ・シンガポール海峡通航船に対する海賊行為の抑止対策に関して、沿岸3ヶ国政府の取り組みを評価する。沿岸3ヶ国による共同の航空・海上パトロールは、海峡における海賊行為の抑止に効果を挙げており、SNECは、この取り組みの継続を沿岸3ヶ国政府に強く求めることとした。
 また、すべての船長に対し、海賊多発地域を航行する場合には引き続き警戒するよう注意喚起し、ソマリア沖を航行する船舶の船長には、陸岸から200マイル以上沖を航行するようアドバイスすることとした。不幸にも海賊に狙われた場合は、その方面に配置されている米英海軍にすぐに支援を仰ぐべきである。

マラッカ・シンガポール海峡における安全、保安および環境保全の強化

2007年9月、マラッカ・シンガポール海峡に関するIMOシンガポール会議が開催され、海峡の航行安全および環境保全に関する沿岸国および利用国間の協力の枠組み(Co-operative Mechanism)が設置された(参考資料)
 SNECは、ここに至る沿岸3ヶ国の努力を高く評価し、Co-operative Mechanismの概念について支持することを改めて確認した。SNECは、Co-operative Mechanismが沿岸国、利用国およびその他関係者間の対話を促し、緊密な協力関係の構築に資することを確信している。さらに、Co-operative Mechanismが、国連海洋法条約第43条の規定に則り、地域の海事関係者の協力関係を強化するものと期待されている。
 SNECは、さらに、フォーラムへ参加し、意見、見解または提案を示す用意があることを表明した。

船舶からの大気汚染

SNECは、外航海運業界が、他の業界と同様に、海洋および大気環境の保全を積極的に推進していく重要な役割を担っていることを再確認した。これに関し、IMOがSOx削減策に関する非公式な官民合同の専門家グループに包括的な検討を要請したことを強く支持した。
 また、SNECは、船舶からのCO2排出量は低く見積もられており、実質的に温暖化に対するインパクトは航空機より大きいとした最近の報道に懸念を持っている。この報道は非常に大きな誤解と混乱を招くものである。
 SNECは、世界貿易量の90%以上を担う海運が、貨物輸送で最も環境にやさしい輸送モードであることを強調したい。貨物1トンを1マイル輸送する際のCO2排出量を比較すると、海運は航空の少なくとも30倍以上、トラックの5倍以上効率的である。他の輸送モードから海運への転換により、海運は、国際輸送におけるCO2排出量の削減に貢献できるものと確信している。SNECは、引き続きCO2排出量のさらなる削減のための調査研究に支援を行っていく。

Ballast Water Management

SNECは、現在、多くの新造船の発注を抱える船主が直面している問題について懸念を持って留意した。バラスト水管理条約の要求の下、2009年1月1日以降に建造される船舶は有害水生生物を除去するための特別な処理装置の搭載が求められる。問題は、IMOの基準に適合する正式に型式承認されたバラスト水処理装置が非常にわずかしか実用化されていないことである。
 SNECは、2007年11月30日に採択予定のIMO通常総会に提案された決議案を支持する。同決議案は、2009年1月の搭載期日を延長する効果があり、各締約国に自国の港湾に寄港する船舶に対し、一定期間、同条約のD-2規則に規定される基準に適合することを求めないよう勧告している。
 SNECは、2009年1月1日から2010年12月31日までに建造される船舶の扱いについて懸念を持っている。これらの船舶は「現存船」として扱われるべきである。本問題についてはIMOにおいて解決されることを望む。

以上


(注): バラスト水管理条約では、船舶の全バラスト水タンク容量により段階的にバラスト水排出基準(D-2規則)が適用され、2009年に建造されるバラスト水容量5,0003未満の新造船が最も早く条約要件が適用されることとなっている。
 D-2規則では、排出するバラスト水中に含まれるプランクトン、細菌類など水生生物の含有量を制限しており、同規則に適合するためには、バラスト水処理装置の搭載が必要となる。
 同条約の規定は、当該処理装置が2009年までに実用化されることを想定して策定されている。そのため2009年以降に建造される船舶を「新造船」とし、D-2規則を即適用することとなっている。一方、処理装置の実用化が難しいと考えられた2009年より前に建造された船舶は「現存船」として扱われ、猶予期間が与えられており、バラスト水容量1,5003?5,0003の船舶は2015年1月1日、1,5003未満の船舶は2017年からD-2規則が適用されることとなっている。


協力メカニズムの概要

「協力メカニズム」は、マラッカ・シンガポール海峡における航行安全および環境保全のため、沿岸国、利用国およびその他利害関係者との対話と協力を促進することを目的とし、次のとおり構成される。

協力メカニズム構成図

〈フォーラム〉
 フォーラムは、沿岸国と利用国、海運業界、その他利害関係者との一般的な対話・意見交換の場を提供し、具体的かつ実質的な協力の促進を図る。議長および事務局を沿岸3ヶ国が持ち回り、TTEGに併せて開催される見通しである(TTEGは毎年10月頃に開催)。

〈プロジェクト調整委員会〉
 標記委員会は、沿岸3ヶ国およびプロジェクト支援者により構成し、プロジェクトの実施状況を監督する。沿岸国より提案されているプロジェクトおよび各プロジェクトへの支援表明の状況(2007年9月時点)は次のとおりである。

プロジェクトの支援内容

〈航行援助施設基金〉
 標記基金は、航行援助施設の維持・更新のためのすべての関係者からの拠出の受け皿となる。基金の管理・運営に関しては沿岸国および拠出者により構成する「航行援助施設委員会」が行い、日常的な運営は沿岸3ヶ国が3年ごとの持ち回りで行う。
 シンガポール会議において、日本財団より航行援助施設の維持・更新に係る事業費の3分の1を上限として当初5年間支援する用意がある旨表明があった。

以上

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