2008年2月18日
社団法人 日本船主協会
水先制度改革のフォローアップに関する会長コメントについて
題件に関し、添付のとおり当協会・前川弘幸会長のコメントをお届けいたします。
以上
Tel:03-3264-7176 井上・小泉
平成20年2月18日
社団法人日本船主協会
会 長 前川 弘幸
水先制度改革のフォローアップについて
水先制度改革は、改正水先法が平成19年4月1日に施行され、法に盛り込まれた各種の施策が徐々に実行に移されているが、料金制度(従来の省令料金から上限認可・届出料金へと移行)については、1年間の猶予期間が設定されており本年4月が実質的なスタートとなる。
今般、水先料金の上限認可制移行に当たり、国土交通省より「水先料金に係る自動認可額」が公示された。
水先制度のあり方に関する懇談会、交通政策審議会における関係者の議論や改正水先法案の国会審議を通じて示された料金制度は、これまでの水先料金は、国が全国一律に定める省令料金であったためコストとの乖離が激しく、結果として水先人の報酬について、そのレベルの適正さを含めて疑問が呈されているとの認識の下に、事実上の地域独占状態を背景とした不当に高額な料金設定を予め防止しつつ、サービスを享受するユーザーの意向等を踏まえ、柔軟かつ迅速に料金設定できるようにするために、上限の範囲で料金を自由に設定できる上限認可制が導入されたものである。
自動認可額公示に当たり示された当局の考え方では、指名制などの導入により、水先業務の一層の効率化とともにユーザーの意向を反映した多様な料金や、各種営業割引の設定等による水先料金の効率化が期待されるとしている。
ユーザーとしても、指名制の活用により料金の設定に自らの要求が取り入れられ、また、競争原理が働くことにより水先業務の効率化や、業務運営の透明性が高まることを期待しているが、現実には、水先の引受は水先人個人であること、水先区毎の水先応召義務の共有、料金の公開、不当な差別の禁止などの要素により水先業に市場原理が機能するかどうかは不確定である。
今回公示された自動認可額は、現行省令料金を見直し設定されたとのことであるが、上限額とはいえレベルに於いて若干の調整にとどまっており、仮に前述の理由により市場原理が働かず、結果として料金水準が自動認可額に張り付くとすれば、水先制度改革の意図するものとはかけ離れたものになってしまう。
当局においては新たな水先制度を「絵に描いた餅」に終わらせることのないよう、立法趣旨に則り市場原理を機能させるよう一層の指導力の発揮を要請したい。
一方、今回の制度改革では充分に市場原理が機能しないならば、再度、見直すことも充分考えられる。水先制度改革に向けた関係者の努力が水泡に帰すことのないよう、料金のみならず業務運営の適正化をはじめ水先改革の進捗状況全般についてフォローアップのため、関係者の方々にも参加いただいて検討する場を設ける必要があると考える。
以上