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プレスリリース

2008年9月12日
社団法人日本船主協会

アデン湾における船舶交通の安全について

近年のソマリアの政情不安に起因して、アデン湾において凶悪な海賊事件が頻発していることに鑑み、当協会は、船舶の安全確保に向け、「アデン湾航行安全対策本部」を設置しました。また、同本部の設置を含め、アデン湾における船舶交通の安全について、当協会会長のコメントを添付しますので、併せてお知らせします。

以上

本件に関するお問合せ先 社団法人 日本船主協会 海務部

Tel:03-3264-7177(e-mail:mar-div@jsanet.or.jp) 斎藤


2008年9月12日

アデン湾における船舶交通の安全について

社団法人日本船主協会
会長 前川 弘幸

アデン湾では、近年、武装した海賊による商船の襲撃事件が頻発しており、2008年1月から8月の間だけでも53隻もの船舶がこの海域で被害に遭っている。このうち日本の企業が関係する船は5件を占めており、うちハイジャックに遭ったのは2件である。
 この海域の海賊事件の特徴としては、機関銃やロケット砲といった重火器による襲撃など凶悪化が顕著であり、本年4月には日本籍大型原油タンカーが不審な小型船からの発砲を受け、船体に被弾するという事件が発生した。このとき、この海域に常駐する多国籍軍の救援活動があった。
 このように、この海域は紅海、スエズ運河を経由しアジアと地中海・欧州を結ぶ海上交通の要衝であり、わが国物資の安定輸送に欠くことのできない重要な航路であるにも関わらず、常に武装した海賊の脅威に晒されており、船舶の航行安全と船員の生命は言うに及ばず、日本経済そのものが脅かされていると言える。

このため、当協会は、「アデン湾航行安全対策本部」を設置し、船舶の安全確保に向け、関係者間の情報の共有化および必要な対策の実施等を進めていくこととした(別紙)。まずは、日本関係船の安全確保とともに、わが国経済・国民生活に必要な物資・資源・エネルギーの安定輸送を確保するためにも、海賊防止のためのより効果的かつ具体的な対策を早急に講じていただくよう、わが国政府へ要望することとしている。

また、上述のとおり、多国籍軍の常駐がこの海域の治安確保に大きく貢献していることは間違いのないことであり、わが国も補給支援を通じこれに寄与していることが広く一般に認識され、評価されるべきものと考えている。
 当協会としては、今後も多国籍軍による日本関係船の安全運航に対する国際的な協力と支援を得、わが国に必要な物資の安定輸送を確保することが重要であり、2009年1月に期限切れとなる「補給支援特措法」が延長されることを支持する。

以上

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「アデン湾航行安全対策本部」(仮称)の設置(案)

1.目的
ソマリアの政情不安に起因して、2008年4月頃よりアデン湾において凶悪な海賊事件が頻発している。当該海域は欧州とアジアとを結ぶ海上輸送の要衝であり、船舶交通の安全を確保するため、関係者により情報を共有化し必要な対策を講じる。

2.構成
本部長 :筧 孝彦(海上安全委員会委員長 /新和海運社長)
副本部長:関根 博(海上安全委員会副委員長/日本郵船常務経営委員)他、各社海務・企画担当者10名
オブザーバー:国土交通省海事局外航課

3.事務局
当協会海務部

4.当面の対応
(1)海賊事件の状況
(2)アデン湾の船舶通航実態の把握
(3)国連・関係各国の動き
(4)わが国商船隊の安全対策

5.第1回会合
2008年9月17日(水)11:30(予定)

以上

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