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Homeプレスリリース&トピックス2008年 > アデン湾の海賊問題に関する国土交通大臣への要望について(10月10日)

プレスリリース

2008年10月10日
社団法人日本船主協会

アデン湾の海賊問題に関する国土交通大臣への要望について

アデン湾において凶悪な海賊事件が頻発している状況に鑑み、当協会 前川弘幸会長は、本日、金子一義国土交通大臣へ添付のとおり要望書を提出し、海賊を防止するより効果的かつ具体的な対策を早急に講じていただくよう要望しましたので、お知らせします。

当協会は、本件への対応として、「アデン湾航行安全対策本部」を設置し、安全に関する情報の収集・提供に努めるなどしているほか、各船会社においても可能な限りの対策を講じていますが、こうした対応だけでは凶悪な海賊を防ぎようがなく、わが国政府に対して早急な対策を要望することとしました(具体的な要望事項に関しては別添ご参照)。
 今後も、当協会としては、わが国の経済活動や国民生活を支えるため、必要な物資やエネルギーの安定輸送を提供していけるよう努めてまいります。

以上

本件に関するお問合せ先 社団法人 日本船主協会 海務部

Tel:03-3264-7177(e-mail:mar-div@jsanet.or.jp) 斎藤


船主海第138号
2008年10月10日

国土交通大臣・海洋政策担当大臣
 金子 一義 殿

社団法人 日本船主協会
会長 前川 弘幸

アデン湾における海賊事件への対応の強化について

日頃、海運業界の発展に格段のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、ご既承のとおり、アデン湾では武装した海賊が商船を襲撃する事件が頻発しており、2008年1月から9月の間だけでも79隻の船舶がこの海域で被害に遭っております。
 これらの事件を見ますと、海賊が船舶を乗っ取り、乗組員を人質として身代金を要求するという事件が22件も含まれており、事件の凶悪化が顕著になっていると言えます。
 また、日本の企業が関係する船は7隻が襲撃されており、うち2隻の船舶が乗っ取られ、乗組員が拉致されました。

当協会と致しましては、海賊事件に関連する有益な情報を会員会社に対して提供するとともに、事件が発生した際には逐次周知するなどの注意喚起に努めてまいりました。
 一方、各船社においても、船舶が同海域を航行する際には、有志連合軍の軍艦等により監視が強化された安全回廊のように比較的安全と言われているイエメンの沿岸30から40マイル沖の航行を指示したり、英国海軍の情報収集機関(UKMTO)が運用する位置通報制度へ参加するなど、可能な限りの対策を講じておりますが、これら自助努力では限界があり、依然として事件は後を絶ちません。

欧州とアジアを結ぶ海上輸送の要衝であるこの海域の状況はさらに悪化していると言わざるを得ず、早急に具体的かつ有効な対策を施す必要があり、これが後手に回った場合、日本関係船の安全、ひいては我が国経済や国民生活に必要な物資の安定輸送に大きな影響を及ぼしかねないと懸念いたしております。

当協会は、本年4月に日本籍タンカーが同海域において海賊に襲撃された際に、貴省に対して日本関係船の安全確保に関する情報提供ならびに関係各国との連携強化を要望させていただいておりますが、上記状況をご勘案いただき、日本関係船の安全確保のため、国際条約を踏まえたわが国法制度の整備や関係各国との連携を含め、海賊行為を防止するより効果的かつ具体的な対策を図っていただきたく、何卒お願い申し上げます。

以上

別添
2008年10月10日
社団法人日本船主協会

日本政府に対する具体的な要望事項
  1. アデン湾の監視・取り締まり体制が確立されるよう、有志連合軍等の活動強化について国連を通じて働きかけ、日本としてもこれに貢献すること
  2. アデン湾における警備強化について、イエメン等周辺国(警備艇の増強、海賊センターの設置等)および関係国の活動(EU各国の海軍による定期巡回航行の提案等)に対して、日本としてもこれを協力・支援すること
  3. 現地事情の把握、情報収集活動を積極的に行うこと
  4. 日本の経済活動を支える貿易物資の輸送の確保および日本関係船舶の安全確保のため、わが国政府・関係者の総力を挙げて取り組むこと
〈国連安全保障理事会決議第1838号〉2008年10月7日採択
海賊行為の鎮圧のため、ソマリア沖の公海およびその上空において必要な取り組みが実施できるように、各国政府に艦船と航空機による展開を要請する。
日本船主協会の対応
  1. 「アデン湾航行安全対策本部」を設置し、関係者間の情報共有化および必要な対策の検討・実施
  2. 現地事情の把握、船舶安全に資する情報の収集・提供および注意喚起
  3. 新テロ特措法の延長支持を表明(9月12日)  (防衛省による広報ビデオの作成に協力)
  4. 日本関係船舶の安全確保への対策についての関係省庁への働きかけ
  5. 国際的な海運業界との協調を通じての国際社会への働きかけ
  6. マスコミ等を通じわが国経済における重要性をアピール
各社の対応
  1. 有志連合軍により設定された「安全回廊」の航行
    (イエメンの30-40マイル沖)
  2. UKMTO(英国海軍の情報収集機関)が運用する位置通報制度への参加と有志連合軍への通報など連絡網の確立
  3. 施錠、見張りの増強、追跡された際のジグザグ航行、増速、警報装置の使用、航海計画の変更等、安全対策の実施
  4. 船舶の保安計画の策定・更新、情報伝達訓練の実施等
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