34 アジア船主フォーラム

 

341 アジア船主フォーラム総会

 第16回アジア船主フォーラム(ASF)総会が、2007529日に韓国船主協会の主催により韓国・釜山市で開催された。同総会には、アジア7地域、12船協(日本、韓国、中国、台湾、香港、ASEAN(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)、豪州)から119名の代表が出席し鈴木会長をはじめ16名の代表が参加した。【資料3-4-1-1

 ASFは、1992年に第1回会合を当協会主催で開催して以来、メンバー国/地域の船主協会が北から南の順で議長を持ち回りしながら毎年開催しており、毎年の年次総会の間に5つの“S”委員会(シッピング・エコノミックス・レビュー、シップ・リサイクル、船員、航行安全および環境、保険・法務)が夫々の中間会合を開催している。5S”委員会の構成および各委員会への当協会代表は資料3-4-1-2のとおりである。

 釜山総会では、各5-S委員会の個別会合に続き、本会合で各委員会から活動報告が行われ、同報告を踏まえて活発な意見交換が行われた。

これに続き、本会合ではASF常設事務局設置問題が審議された。本問題については、当協会主催により軽井沢で開催された2006年の第15回総会において、常設事務局の具体案検討に向けてワーキング・グループ(WG)を設置し、規約・設置場所・財源等詳細を検討させた上で、第16回総会で改めて審議することとされていた。第16回総会には同WGの報告および提案事項が図られ、その結果今後6ヶ月以内に常設事務局をシンガポールに設置することが決定されるとともに、同事務局に係る規定が採択された。また、同規定に基づき、同事務局の活動を監督するための組織としてASFメンバー船協会長で構成する「会長会議(Chairmen’s Meeting)」が設置されるとともに、同会議に初代事務局長を選任・指名する権限が付与された。

活発な議論が行われた釜山総会は、最後に共同声明(【資料3-4-1-3】)を採択し、終了した。第17回総会は、200863日に中国船主協会の主催によりボアオ(中国・海南島)で開催される。

 

342 各委員会における検討状況

(1)シッピング・エコノミックス・レビュー委員会(SERC)中間会合

ASFシッピング・エコノミックス・レビュー委員会(Shipping Economics Review CommitteeSERC)は、その中間会合を以下のとおり開催し、当協会企画部がその事務局として活動した。

 

 

19回中間会合(2007228日 於 沖縄)

同会合では、芦田当協会常任理事が委員長として議長を務め、ASFメンバー船協から6カ国/地域の代表19名が出席(【資料3-4-2-1】)し、太平洋およびアジア域内コンテナ航路の需給見通し、ドライバルク/タンカーの市況動向のほか、パナマ運河通航料値上げ提案や独占禁止法適用除外問題などについて議論された。同会合での了解事項は、【資料3-4-2-2】のとおり。

 

20回中間会合(20071121日 於 台湾)

 同会合では、ASFメンバー船協から6カ国/地域の代表16名が参加、当協会の芦田副会長が委員長として議長を務め、太平洋およびアジア域内コンテナ航路の需給見通し、ドライバルク/タンカーの市況動向のほか、独占禁止法適用除外問題や米国コンテナ100%スキャニングについて、率直かつ活発な意見交換を行った後、了解事項を採択した。出席者および了解事項は、夫々【資料3-4-2-3】および【資料3-4-2-4】のとおり。

 

(2)船舶保険・法務委員会

アジア船主フォーラム船舶保険・法務委員会(ASF SILC)第12回中間会合が2007417日に香港において開催された。

同会合には、アジア9船主協会から17名が参加し、日本からは同委員会委員を務める宮原副会長(日本郵船社長)の代理として、櫻田日本郵船法務グループグループ長、および船協事務局より伊藤企画部課長代理が参加した。

今次会合では、George Chao委員長(香港船主協会)の下、船主の民事責任と金銭的保証に関する欧州委員会の指令案の影響、国連国際商取引委員会(UNCITRAL)での運送法の審議状況、2002年アテネ条約改定議定書の妥協的解決策の帰結、海難残骸物除去に関する条約案の問題点など、海事関連規則・条約等に関する審議/意見交換が行われた。

特に、欧州において提案されている船主の民事責任と金銭的保証に関する指令案について、各委員からはこうした地域規制は世界的な貿易業務に携わる船舶の責任体制の統一性が損なわれるとともに、それに伴う保険体系に混乱を招くだけであるとして強い懸念が表明された。

この他、国際的な海事規則、条約の改定や草案の審議については、今後とも当委員会を通じてアジア船主のポジション形成に努めていくことを確認するとともに、当委員会の見解を取り纏めた共同声明【資料3-4-2-5】を採択した。

 

343 ASF常設事務局設立

 2007(平成19)年5月の第16ASF釜山総会において、ASF常設事務局をシンガポールに設置するとともに、同事務局長の選任については、ASFメンバー船協会長で構成する「会長会議」(Chairmen’s meeting)に委ねることが合意された。これを受け、同年7月にシンガポールで第2回会長会議が開催され、中国船主協会が推薦したWang Cheng氏(COSCO)が選任された。その後、同年10月に同事務局が業務を開始、2008(平成20)年6月のASF17回ボアオ(中国・海南島)総会に併せて開催される会長会議において、同事務局長の業務評価が行われる。