日本船主協会

トップページ海と船のQ&A

海と船のQ&A part3:航海
  目次 次
Q24:船位(せんい):船の位置はどうして知る?
 航海とは、目的地まで船を安全に効率よく航行させることで、このために最も重要なことが自分の船の位置を知ることです。
 沿岸を航行する時には、海図に示された山や岬、灯台など複数の目標物の方位や距離を測って位置を出します。海図の上にこれらの目標物が見える方位を示す線(方位線)や距離を表す線(等距離線)を引き、これらが交叉した点が船の位置になります。方位はコンパス(磁気コンパス、ジャイロコンパス)やレーダー、距離はレーダーなどによって知ることができます。
 目標物の無い大洋航海中は、太陽や星の高度を六分儀(ろくぶんぎ)で測り、測った時間をクロノメーター(正確な時計)で正確に知ることにより、天測歴(てんそくれき)や天測計算表と照らし合わせて船の位置を知ることができます。また、陸上の2つ以上の電波局が発信する電波を受信し、その時間差から船の位置を知る方法が第2次世界大戦中に開発されました。現在利用できるものとしてはロランA、ロランC、デッカなどがあります。
 現在では、世界中どこにいてもGPS(全世界的な測位システム)を利用することにより瞬時に、しかも正確に位置を知ることができます。これは、複数の衛星からの信号がGPS受信機に届くまでの時間から衛星との距離を求めて船の位置を知るもので、自動車用のカーナビとしても普及しているものも同じです。

海
船
航海
海運と貿易
こちらもご覧ください
海運ゼミナールより
コンピューター技術が進んでも、六分儀は海の男の心のシンボル(079)
東シナ海を丸木舟で渡った縄文人の驚異的な航海術(085)
遣唐使船の航海は宇宙旅行以上の難事業(187)
北極星は2万6000年周期で一巡する星々の当番制(194)
GPS-24個の衛星の絶妙のコーラス―宇宙の電波灯台「GPS」(212)
鳥は古代の航海用レーダー(247)

参考文献
船の位置を図る道具
六分儀